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怠け者とおじいさん [怠け者シリーズ]

むかし、ある村にひとりの怠け者の若者が住んでいました。
畑を耕しているお父さんもお母さんも、「どうしてこの子は、こんなに怠け者なんでしょうねぇ」と嘆いていました。
夏のある暑い日、お父さんは、この怠け者をあるおじいさんの家に無理矢理連れて行きました。
ひとり暮らしのおじいさんは、話し相手が来てくれたので、とても喜びました。
怠け者は、話すのも面倒くさいので、おじいさんのとなりにぼーーっと座っていました。
おじいさんは、怠け者に一生懸命に話しかけましたが、怠け者は返事もせずに、時々首を振ったり、うなずいたりするだけでした。長い時間が経ち、怠け者は暑さでだんだんのどが渇いてきました。
そこで、張り紙に「お茶をいれてくれ」と書いておじいさんに見せました。
おじいさんは、「おお、おお、お客様なのにお茶も出さねぇで、申し訳なかったなぁ」と言って、立ち上がろうとしました。でも、ずいぶん長い間座っていたので立ち上がるのが大変でした。
「すまんのう。年を取ると立ち上がるだけでも、小一時間かかってしまうのじゃ。ちょっと待っててくれや」
おじいさんが立ち上がるのに、本当に1時間ほどかかりました。
「年を取ると目が弱くなってのぅ。戸棚から茶筒を探し出すのに小一時間かかってしまうのじゃ。ちょっと待っててくれや」
おじいさんが、茶筒を探すのに、本当に1時間ほどかかりました。
「年を取ると手が震えてのぅ。急須にお茶っ葉をいれるのに小一時間かかってしまうのじゃ。ちょっと待っててくれや」
震える手で、お茶っ葉をこぼしながら急須に入れるのに、本当に1時間ほどかかってしまいました。
「年を取るとのぅ。鉄瓶が重くて持てんのじゃ。少しずつ入れるんに小一時間かかってしまうのじゃ。ちょっと待っててくれや」
急須にお湯を入れるのには、黙っていたら3時間くらいかかりそうでした。
その頃には、すっかり夜になっていましたが、夏の夜は蒸し暑く、怠け者はのどがやけそうなくらいに乾いてしまいました。
そして、とうとう、おじいさんから鉄瓶をとりかえし、生まれて初めて自分でお茶をいれました。
物陰で見ていた怠け者のお父さんの作戦は、大成功したのです。
じゃ、おやすみ。

たくさんのアクセス、ありがとうございます。
参考までに、最近のアクセス数トップ5をご紹介します。
でも、このアクセス数は、あんまり正確ではなさそうです。(^_^;
1,犬は覚えていた
2,怠け者とお殿様
3,耳の短いウサギの話 その1
4,こびとの子供たちと積み木
5,おなかの大きなお母さんの活躍
次点,青虫の悩み


2012-04-12 08:51  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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