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崖から落ちたタヌキ(耳の短いウサギの話スピンオフ) [耳の短いウサギシリーズ]

崖から落ちたタヌキは、「あのウサギめ、でたらめを教えやがって、ふんづかまえてひどいめにしてやる」と思いました。
森の中をヨロヨロと歩きながら、「耳の短いウサギを見なかったか ? 」「耳の短いウサギを知らないか ? 」とたずねて歩きました。
でも、そうきかれたみんなは口をそろえて、「バカか、おまえは。耳が短かったらウサギじゃないだろう」「耳が長いのをウサギって言うんだぞ」と言いました。
そう言われると「そうかもしれないな」と思えてきました。
「じゃ、あいつはいったい、何だったんだ ? 」タヌキはあたまを強くぶつけたせいもあって、何が何だかわからなくなってきてしまいました。
そこに、1匹のメスのタヌキがやってきました。
メスのタヌキは「どうしたの ? 」とききました。
フラフラのタヌキが説明すると、「まぁ、かわいそうに」とかわいい顔で微笑みながら優しく言いました。
その様子を見て、フラフラのタヌキは胸がキュンとなり、メスのタヌキが大好きになってしまいました。
メスのタヌキは「私についてきて。いいところを教えてあげる」と言いました。
フラフラのタヌキは、このメスのタヌキの言うところならどこへだってついていきたい気持ちでした。
2匹で仲良く話をしながら歩いている間、タヌキはとても幸せな気分でした。
耳の短いウサギのことも許してやろう、という気持ちになってきました。
メスのタヌキはとても楽しい話をしながら、タヌキの体を心配してくれたりしました。タヌキはメスのタヌキのことがますます大好きになってきました。
しばらく歩くと、メスのタヌキが「この崖を登った所よ」と言いました。
タヌキは、「何があるのかな ? 」とワクワクしました。
崖を登るとメスのタヌキは「ほら、見て。きれいな湖でしょう ? 」と言いました。見ると、それはそれは美しい湖がありました。タヌキはしばらく見とれていました。
メスのタヌキは、「ここなら空を飛ぶ練習をしても、水に落ちるだけだから痛くないわよ」と言いました。
タヌキは、「えっ ? 」って思いましたが、メスのタヌキがかわいい顔で言うので、「そうかぁ。本当だ。これなら安心。今度こそ空を飛べるに決まってるさ」
と言って、耳を伸ばす体操をしてから、「えい ! 」と崖からジャンプしました。
メスのタヌキはタヌキが空を飛ぶところを一目見ようと身を乗り出して見ましたが、見えたのは水しぶきだけでした。
じゃ、おやすみ。


2012-04-14 10:02  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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