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キルクディクディクと病気の子供(耳の短いウサギの話スピンオフ) その3 [耳の短いウサギシリーズ]

ちょうどその時、KJとキルクディクディクが遊んでいる草原の草が不気味にザワザワと揺れ始めました。
オオカミが近づいて来たのです。
Jさんが「あっ ! 」と気付いた時は、もう手遅れでした。
キルクディクディクたちはすぐに気がついて跳ねながら逃げて行きましたが、KJは何が起こったのかわかりません。
オオカミは逃げ遅れたKJを追いかけて来ました。
Jさんは必死に走ってKJを助けようとしました。
でも、オオカミはKJを追いかけて、草原の奥の方に走って行きました。
Jさんの足では追いつきそうにもありません。ジープに戻ろうとした時です。
オオカミが走っていった方角の草がザザザザザサっと音を立てて揺れ始めました。
Jさんがびっくりして見ていると、草原いっぱいから、数え切れないほどのキルクディクディクたちが現れました。
キルクディクディクたちはKJの体をやさしくくわえました。
そして、いっせいに大空に飛び上がりました。
オオカミは、飛び跳ねてKJを襲い続けましたが、しばらくするとあきらめて山の方に帰っていきました。
オオカミがいなくなった後もKJはキルクディクディクたちと一緒に大空を飛んでいました。
Jさんは口を開けて、空を見上げていました。
すると、キルクディクディクはKJをくわえていた口を開いて、KJから離れてしまいました。
Jさんは、「あっ ! KJが落ちる ! 」と悲鳴を上げました。
でも、KJは落ちることなく、なんと、キルクディクディクたちと一緒に大空を飛び回りました。
その顔は、今までで一番の笑顔をしていました。
「パパ ! 写真撮ってぇ ! 」
KJのその声を聞いてJさんも安心をしてカメラのシャッターを押し続けました。
大空を飛んだその日から、KJはすっかり元気な子供になりました。
JさんはKJの部屋の壁という壁全部にKJとキルクディクディクがいっしょに大空を飛んでいる写真を貼りました。
じゃ、おやすみ。


2012-07-10 08:32  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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