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耳の短いウサギ その1 [耳の短いウサギシリーズ]

ある山に、一匹だけ耳の短いウサギが住んでいました。
本当はウサギは鳥みたいに1羽2羽と数えるそうですが、鳥じゃないので1匹です。
ウサギの耳が長いのは、とても臆病なので、近づいてくる敵をなるべく早く音で感じるためです。
ですから、この耳の短いウサギは敵から逃げるのが遅れるのではないかと、いつもびくびくしていました。
ある日、こわいオオカミが近づいてきました。ウサギたちはすぐに気がついて逃げ出しました。
耳の短いウサギもみんなが逃げるのに合わせて一緒に逃げました。
でも、オオカミは一匹ではなかったのです。西の方に逃げたウサギたちは、急に南に向きを変えて逃げ出しました。耳の短いウサギは何が何だかわからないままに転がるように逃げました。
オオカミは南からも迫ってきました。
ウサギたちは、すっかりオオカミたちに囲まれてしまったのです。
「もう、だめだ」耳の短いウサギがそう思ったとき、ウサギたちは長い耳を広げて、ふわっと空に飛び上がりました。
「えっ!?」耳の短いウサギは、びっくりしました。
「ウ、ウサギって、空を飛べたんだ!」
オオカミたちもびっくりして空を見上げていました。
でも、オオカミたちは、一匹だけ空に飛ばずに残っているウサギがいることに気付いてしまいました。
耳の短いウサギは、「今度こそ、もうだめだ!」と思いました。
その時、遠くの空の上から、小さい声で歌が聞こえてきました。
「♪ウサギは1匹じゃないよ1羽だよぉ♪オオカミから逃げるなら………」
「えっ?大事なところが聞こえないよぉ」
「♪ウサギは1匹じゃないよ1羽だよぉ♪オオカミから逃げるなら………」
「えっ?なになに?」耳の短いウサギはオオカミから逃げる方法を聞こうと必死に耳を伸ばしました。
「♪ウサギは1匹じゃないよ1羽だよぉ♪オオカミから逃げるなら………」
「えっ?どうするのぉ〜」
一匹のオオカミが耳の短いウサギに跳びつこうとした時、耳の短いウサギはちょっとだけふわっと宙に浮かびました。
オオカミは捕まえようと跳びかかりましたが、耳の短いウサギは何とか逃げることが出来ました。
次の日、周りのみんなを見ていると、みんな自分の耳をせっせと伸ばす体操をしていることに気がつきました。
耳の短いウサギは、自分が今まで努力が足りなかったことに気付き、それからはみんなよりも頑張って体操をしました。
じゃ、おやすみ。


2019-12-25 21:48  nice!(0)  コメント(1) 
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子供がとっても気に入っています。
by お名前(必須) (2024-03-02 18:25) 

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