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世界一高いタワーをささえるもの [作者のおすすめ]

ある町に小さな工場がありました。
この工場で、高校を出たばかりのMが働いていました。Mは、まだ新米なので、いつも怒られてばかりいました。
でも、Mはどんなに怒られても文句を言うことはなく、いつも、一生懸命に仕事を覚えようと努力していました。
そんなMを先輩たちは「まだまだダメだが、こいつはきっといい仕事ができるようになる」と思っていました。
そんなある日、作り始めた世界一高いタワーの部品が間違っていたという事件が起こりました。間違えた部品を作った大きな会社は、大慌てで町中の工場に部品の作り直しを頼みました。
Mの工場でも、明後日までに100万本のネジを作らなくてはならなくなりました。全員が徹夜でネジを作りました。新米のMも部品を運んだり、先輩たちに水を運んだり、おにぎりを運んだり、できあがったネジを箱に詰めたりして、大忙しでした。
そんな時、年をとった先輩のひとりが、疲れ切って倒れてしまいました。Mは先輩を病院に運びました。
残った先輩たちは、倒れた先輩の分も頑張りました。
そして、2日後、100万本のネジが見事にできあがりました。
Mは感動していました。先輩たちの仕事にかける思い、その技術の正確さ、協力し合う姿のすばらしさ。
Mは工場で、どんなつらい仕事も頑張り抜き、やがてその国を代表する技術者になりました。
世界一高いタワーができてから50年がたち、今、Mは新しい世界一高いタワーの工事の責任者になっていました。そのタワーのネジは1000分の1ミリも狂いが無く、美しい姿で建っています。
見上げる人々は「なんて美しいタワーなんだ」と言い合いました。
Mは、そのタワーのネジの何本かに、お世話になった先輩たちの名前を刻みました。
じゃ、おやすみ。


2021-07-09 22:12  nice!(0)  コメント(0) 
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