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エゾシマリスと冬の北海道(小さな動物シリーズ) [小さな動物シリーズ]

北海道にエゾシマリスというかわいいリスが住んでいます。
チップとデールに似た感じの顔で、背中のシマシマ模様が特徴です。
身長は15センチくらいですから、とても小さなリスです。
さて、エゾシマリスは冬の間ずっと巣穴の中で眠っているので、その準備が大変でした。
ある日、エゾシマリスは冬眠用のベッドを作るために葉っぱをたくさん集めていました。
森の中をあっちに行ったり、こっちに行ったりしているとひとりのおじいさんがいることに気が付きました。
おじいさんは何かを探しているようで、木の枝を使って葉っぱをかき分けていました。
エゾシマリスはその様子をこっそりと見ていました。
おじいさんもあっちへ行ったり、こっちへ行ったりしていますが、なかなか探し物は見つからないようです。
エゾシマリスはだんだん夕暮れが近づいてきたので、おじいさんが心配になってきました。冬も近い森の夕暮れは、急に寒くなってしまうからでした。
でも、おじいさんは夢中になって何かを探し続けています。そして、とうとう日が沈み、急に寒くなってきてしまいました。毛皮に包まれたエゾシマリスでさえも寒くなってきました。
おじいさんは、だんだん動きが遅くなり、眠そうな顔をしたかと思うと、とうとう草の上に倒れて寝てしまいました。このままではおじいさんは寒さで死んでしまいます。
エゾシマリスはおじいさんを起こそうとおじいさんの鼻を噛んだり、ほっぺをひっかいたりしましたが、おじいさんはもう寒くて動けないままでした。
エゾシマリスは涙をボロボロ流しました。
そのとき、不思議なことが起こりました。生まれてから今まで一度も声を出した事の無かったエゾシマリスが大きな声で鳴いたのです。
その声は森中に聞こえました。
そして、それを聞いた全部のエゾシマリスが集まってきて、おじいさんの体にくっついたのでした。
それから何日が経ったでしょうか、北海道にもやっと春の気配がしてきた頃、エゾシマリスたちは、やっと冬眠から覚めました。
すると、「ふわぁぁぁぁぁ」とおじいさんも冬眠から覚めました。
おじいさんは寒い冬の間、たくさんのエゾシマリスたちに包まれて生きていたのです。
助かったおじいさんは、「そうそう、わしは、エゾシマリスにドングリをあげようと思ってしゃがんだときに落とした入れ歯を探しておったんじゃった」と言いました。
それを聞いた1匹のエゾシマリスが、ほおぶくろからボンっと入れ歯を出しました。
じゃ、おやすみ。


2021-08-20 11:22  nice!(0)  コメント(0) 
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