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小さな命 [作者のおすすめ]

小さな小さな女の子が生まれました。
お父さんとお母さん、おじいちゃんとおばあちゃんもみんな大喜びでした。
でも、女の子は生まれつき心臓に病気を持っていました。
お医者さんは、「この子の体力では、1ヶ月くらいしか生きられないと思います。短い時間ですが、家族の皆さんで大切に見守ってあげて下さい」と言いました。
お父さんもお母さんも、おじいちゃんもおばあちゃんも、みんな大声を上げて泣いてしまいました。
2日ほどは、みんなただただ泣いているばかりでしたが、お父さんが「この子には、たったの1ヶ月しか時間がないんだ。泣いてばかりで2日も無駄にしてしまった。この短い時間を幸せな人生にするようにみんなで頑張ろう」と言いました。
それからみんなは、女の子に一生懸命話しかけたり、歌を歌ってあげたり、手と足の体操をしながらみんなで笑い合ったりしました。
みんなはいつも笑っていました。頑張って、頑張って笑っていました。
3週間ぐらい経ったある日、いつものようにお母さんが女の子におっぱいをあげていました。いつもならお母さんが一生懸命話しかけても、ぼーっとした顔をしていた女の子が、お母さんの顔を見つめました。
お母さんは、ハッとして、「パパ ! 今、私の顔を見てくれたわ !」と叫びました。
お父さんがびっくりして女の子の顔をのぞき込むと、女の子は、今度はお父さんの顔を見て、ニコニコと笑いました。
「笑った ! 笑った ! 」お父さんとお母さんは大喜び。すぐにお医者さんを呼んで報告しました。
お医者さんは「すごい。信じられない。これは…助かるかもしれませんよ ! 」と叫びました。
その日からも、みんなは女の子に話しかけ、笑いかけ続けました。おじいちゃん、おばあちゃんも、ちょっとでも女の子が笑うと大騒ぎでした。
恐れていた1ヶ月が経ちました。
女の子はお母さんのおっぱいを飲む力も強くなり、体重も増え、顔もぷくぷくとしてきました。
お医者さんは、「ご家族皆さんの愛情と、この子の頑張る気持ちが奇跡を起こしました。今の体力があれば、大丈夫生きられます。大きくなったら手術が必要ですが、それも乗り越えることが出来るでしょう。病気を治すのは医者ではないということをこの子が教えてくれました」と言いました。
お父さんとお母さん、おじいちゃんとおばあちゃんは、頑張らなくても、いつもニコニコ笑っていられる毎日に感謝して、女の子を大切に、大切に育てました。
じゃ、おやすみ。


2022-07-23 08:10  nice!(0)  コメント(0) 
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