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耳の短いウサギ その8 (奄美大島編) [耳の短いウサギシリーズ]

ある山に一匹だけ耳の短いウサギがいました。
本当はウサギは鳥のように1羽2羽と数えます。
耳の短いウサギは、空をパタパタと飛んで、奄美大島という島にやってきました。この島と隣の徳之島にだけ住む「アマミノクロウサギ」というとっても珍しいウサギが、自分と同じように耳が短いという話を聞いたので会いに来たのでした。
島と言っても大島と言うだけあって、奄美大島は結構大きな島でした。
耳の短いウサギはアマミノクロウサギを探しましたが、空の上からでは大きな木がたくさんあって見えません。山を歩いて探しましたが、アマミノクロウサギは1羽もいませんでした。
「さすが、珍しいウサギだなぁ。なかなか会えないぞ」と思い、島の動物にきいてみることにしました。
すると、「教えてあげてもいいけど、クイズにしちゃおうかな ? 」
「クイズ ! いいねぇ。楽しそう。出して、出して」
耳の短いウサギはクイズにしてくれるときいて、うれしくなりました。
「あのね、どうしてキミはアマミノクロウサギになかなか会えないのでしょうか ? ヒントは名前です」
「名前がヒントなの ? うーーん。……、わかった ! 「アマミ」だから海女さんのように海に住んでいるんだね ? 」
「ブ、ブーー。違います。ウサギは泳げません」
「うーーーん。……、クロウサギ……、黒いから土の中に住んでいるの ? 」
「ちゃんと、外を歩いていますよ」
「うーーん、降参 ! 」耳の短いウサギはあっさりと降参しました。
「クロウサギだから、真っ暗な夜じゃないと出てこないんだよ」
「あっ ! そうか ! だから、昼間は会えないんだ。ありがとう。夜になったら探してみるよ」
耳の短いウサギは、夜になるのを待ちました。
夜になり、辺りは真っ暗です。真っ暗な闇の中でクロウサギを探すのは大変です。
耳の短いウサギは、その短い耳を一生懸命伸ばして、クロウサギの気配がしないか探っています。
すると、何かの動物の鳴き声が聞こえてきました。
「何だろう。ウサギは鳴くわけないし……」と耳の短いウサギが思ったとき、「こんばんは ! キミ、誰 ? 」と突然言われました。
「うわっ ! キミこそ誰 ? 」ときくと、「ボクはアマミノクロウサギだよ。ボクに会いに来てくれたんでしょ ? 」と返事が返ってきました。
「キミがアマミノクロウサギか ! ボクが会いに来たことを知っていたんだね」
「うん、森の動物たちからきいていたよ。だから、ボク、鳴いてキミに知らせたのに……」
「えっ ? キミってウサギなのに鳴けるんだ」
「だからボクは珍しいウサギって言われているんだよ。でも、キミもボクたちみたいに耳が短くて珍しいね」
「ボクは耳の短いウサギ。よろしくね」
2匹はすぐにお友達になりました。
2匹のお話は、また明日。
じゃ、おやすみ。


2022-07-23 08:15  nice!(1)  コメント(0) 
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