宿題
小学校で、「とても素敵な新しい漢字を作りなさい」という宿題を出されたDくんは、はりきって素敵なことを探していました。
Dくんは公園に行ってみました。すると、そこにひとりのおばあさんが座っていて、静かに編み物をしていましたので、「これは何か素敵な話が聞けそうだ」と思ってすぐに話しかけました。
すると、おばあさんは「これはね。北の海に半年も出かけていた息子が帰ってくるので、マフラーを編んであげているんだよ」と教えてくれました。
「素敵な話だ」と思ったDくんは、すぐに新しい漢字を考えました。
毛糸へんに襟巻き。だめだ。
母かんむりに息子。だめだ。
親かんむりに愛。だめだ。
Dくんは、いろいろな新しい漢字を考えました。
そして、「よし、これにしよう」と決めました。
「宿題終わったから、公園で遊ぼうっと」Dくんは、ブランコで遊びました。
次の日、教室でDくんは宿題の発表をしました。
「ボクは、昨日公園で、ずっと長い間寒い北の方の海で仕事をした息子さんがもうすぐ帰ってくるのでマフラーを編んで待っているというおばあさんに会いました。そのおばあさんの気持ちを漢字にしてみました」
と言って、Dくんがみんなに見せた新しい漢字は、
「子供へんに母」
という字でした。
「親は、いつまでも子供と一緒にいたい、と思うので、この漢字を考えました。これは、たいせつ、と読みます。ボクもいつまでもお母さんと一緒にいたいし、一番大切なのはお母さんだから、母と子がくっついた漢字を考えました」Dくんが真っ直ぐ前を見て、大きな声で発表したので、みんなは拍手をしました。
先生は、「とっても素敵な漢字が出来たわねぇ」と言って、Dくんの頭をなでてくれました。
家に帰ったDくんは、お母さんにもなでられました。
じゃ、おやすみ。
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