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怠け者と娘 [怠け者シリーズ]

むかし、ある村にひとりの怠け者の若者が住んでいました。
怠け者は朝起きても顔を洗うのが面倒なので「誰か顔を洗ってくれ」と書いた張り紙を貼って座っていました。
困った父親は「若い娘に会わせれば、いいところを見せようと頑張るだろう」と考え、若くてきれいな娘を息子に会わせました。
怠け者の息子ははじめは困ったような顔をしていましたが、娘がとてもかわいい顔で見つめているので、何だか少し嬉しくなってきました。
娘が「どんな食べ物がお好きですか ? 」ときくと、怠け者は「作ってくれた物なら何でも食べる」と張り紙に書きました。
娘はくすくすと少し笑って「お話はしてくださらないのですか ? 」とききました。
怠け者は「口を開くのが面倒くさい」と張り紙に書きました。
娘はおもしろくなって、「カエルの絵は描けますか ? 」ときくと、怠け者は張り紙にカエルの絵を描きました。
「鈴虫の絵は描けますか ? 」ときくと、張り紙に鈴虫の絵を描きました。
「カラスの絵は描けますか ? 」ときくと、張り紙にカラスの絵を描きました。
「すずめの絵は描けますか ? 」ときくと、張り紙にすずめの絵を描きました。
娘が言う物を全部、怠け者は張り紙に描いていきました。
絵を描くたびに娘が「すごい。上手」と褒めてくれるので、怠け者はだんだん嬉しくなり、娘が何も言わなくても、どんどん絵を描いていきました。
娘はその絵を村のお堂に張り出しました。
村の人たちは「おもしろい絵だ」と感心しました。
その絵は国中の評判になり、たくさんの人が見に来てくれました。
やがて、その絵は国の宝物になり、おかげで村はとても豊かになりました。
怠け者の若者は、相変わらず「誰かメシを食べさせてくれ」などと書いた張り紙を貼って座っていますが、かわいい娘が嬉しそうに食べ物を運んでくれるようになっていました。
じゃ、おやすみ。


2023-06-06 07:23  nice!(0)  コメント(0) 
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