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耳の短いウサギ その4 [耳の短いウサギシリーズ]

ある山に一匹だけ耳の短いウサギがいました。
本当はウサギは鳥のように1羽2羽と数えます。
耳の短いウサギは、小学校に懲りたので、今度は山の中の幼稚園にやってきました。
「幼稚園の子なら、絶対ウサギのすごさがわかってくれるはずだ。幼稚園の先生はやさしいから、あんなにきっぱりと言ったりしないだろう」
耳の短いウサギは、期待して、わくわくしていました。
幼稚園に着くと、園庭で園児たちが体操をしていました。
耳の短いウサギは、ぴょんぴょんと園庭に入っていきました。
小学生と違って、園児たちはすぐにウサギに気が付いてくれました。
「やった。やっぱり幼稚園はいいな」耳の短いウサギはそう思いました。
「かわいい動物が来た」「さわりたい。さわりたい」「かじらないかな ? 」
耳の短いウサギは園児のおててをペロッとなめてあげました。
「くすぐったい」「気持ちいい」
園児たちは大喜びです。
耳の短いウサギは嬉しくて仕方がありませんでした。
でも、ウサギに夢中になった園児たちはすぐに調子に乗って、ウサギの舌を引っ張り出したり、しっぽを踏んづけてみたり、耳を引っ張ったりしました。
「いたたたた・・・」
耳の短いウサギは空を飛んで逃げました。
園児たちはびっくりして空を見上げました。
「すごい。空を飛んでる ! 」「かっこいい ! 」
先生もびっくりして、「あれはウサギかしら ? ウサギが空を飛ぶなんて、素敵 ! 」と言ってくれました。
「やった。今度は先生もボクのすごさをわかってくれた!」
耳の短いウサギが大喜びしたとき、園長先生がやってきて、きっぱりと言いました。
「遊んでないで、ちゃんと体操しなさい ! 」
耳の短いウサギはがっかりして山に帰っていきました。
じゃ、おやすみ。


2021-11-22 09:20  nice!(0)  コメント(0) 
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