SSブログ
小さな動物シリーズ ブログトップ

田んぼのヤマネ(小さな動物シリーズ) [小さな動物シリーズ]

ある村にヤマネが住んでいました。
ヤマネは人里近くに住んでいる小さな動物で、特徴は背中の真ん中に真っ直ぐ伸びた黒い一本線があることです。
体が小さいので細い枝を上手に歩くことが出来るのですが、背中の黒い一本線がちょうど枝と重なって、他の動物には細い木の枝にしか見えないのです。
さて、そのヤマネが田んぼでおばあちゃんに会いました。
おばあちゃんにはヤマネは小さ過ぎてよく見えませんでした。
ヤマネは、おばあちゃんが大変そうに田んぼ仕事をしているので心配でした。
ヤマネはおばあちゃんの肩に乗って応援しましたが、おばあちゃんは耳が遠いのでヤマネの声には気が付いてくれませんでした。
おばあちゃんが植えた稲の苗が曲がっていたりすると、ヤマネは一生懸命に苗を真っ直ぐに直しました。おばあちゃんは手が震えるので、上手に真っ直ぐに苗を植えることが出来ないのでした。
ヤマネはおばあちゃんの腰にくっついて、おばあちゃんの腰が痛くならないように腰を揉んだりしました。
でも、ばあちゃんの腰はすっかり固くなってしまっていて、小さなヤマネが揉んでも全然ほぐれませんでした。
ヤマネは「おばあちゃんは、ずいぶん長い間この田んぼで働き続けてきたんだなぁ」と思いました。
ヤマネは仲間をたくさん呼びました。
そして、たくさんのヤマネたちは、おばあちゃんの田んぼに2列に並びました。すると、おばあちゃんは2列のヤマネの間しか歩けなくなったので、自然に真っ直ぐに苗を植えることが出来るようになりました。
ヤマネの背中の一本線が繋がって、田んぼはシマシマ模様になっていました。
それを見たヤマネは、いい考えが浮かびました。
ヤマネは仲間たちに頼んで、田んぼに順番に並んでもらいました。
ヤマネの背中の一本線が繋がって、「オバアチャン、ダイスキ ! 」という字になりました。
おばあちゃんは目がよく見えないので、その字は見えなかったと思いますが、とっても嬉しそうな顔をして、「あとは、ほったらかしていてもお米ができるぞぉ」と言いました。
ヤマネは「おばあちゃん元気そうだ。よかった」と思いました。
じゃ、おやすみ。


2012-05-21 10:06  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:育児

草原を包み込んだウッドチャックのこころ(小さな動物シリーズ) [小さな動物シリーズ]

ある草原にウッドチャックが住んでいました。
ウッドチャックはリスのようなネズミのようなプレーリードッグのような、茶色で優しくかわいらしい動物です。
そのウッドチャックにいつもエサをくれるおじさんがいました。
おじさんは、いつも同じ岩に腰掛けてギターを弾きながら歌を歌っていました。
その歌がとても素敵なので、ウッドチャックはすぐ近くで聞いていました。
おじさんのギターは、もうボロボロになりかけていました。
おじさんの服もだいぶポロポロでした。
ウッドチャックには、おじさんの心もボロボロのように思えました。
そりは、おじさんが歌を歌いながら時々涙を流している様子を見ていたからでした。
ウッドチャックは、「きっと、おじさんは悲しい思い出があって、歌を歌うとそれを思い出して泣いているんじゃないかな」と思っていました。
そこで、ウッドチャックはおじさんを元気づけてあげたいと思いました。
いつものように歌を歌っているときに、おじさんの前に出て行って踊りを踊り始めました。
おじさんはすぐに気が付いて、「変なウッドチャックだなぁ。おれのギターが好きなのかな ? 」と言いました。
ウッドチャックは、さらに一生懸命に踊りました。
すると、おじさんのギターが、いつもの悲しい感じの曲ではなくなって、楽しい感じの曲に変わりました。
ウッドチャックは、さらに激しく、さらに楽しそうに踊りました。
おじさんも、ついにはギターを抱えながら踊り始めました。
「こんなに楽しい気分は久しぶりだ。なんて、素敵な草原なんだ ! 」おじさんは叫びました。
おじさんは何か重たい荷物を背中から下ろしたときのような顔をしていました。
気が付くと、ウッドチャックの周りの草原は、踊りまくる小さな動物たちでいっぱいになっていました。
ウッドチャックも、「何て素敵な草原なんだ ! 」と叫びました。
じゃ、おやすみ。


2012-05-22 07:49  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:育児

カヤネズミと宝物のヒント(小さな動物シリーズ) [小さな動物シリーズ]

日本のある山にカヤネズミが住んでいました。
ネズミの中でも一番小さなネズミで、500円玉くらいの体重しかありません。
目がまん丸くて、とってもかわいい動物です。
体重が軽いので細い葉っぱの上なんかも歩けます。どんな怖い動物たちも、そんな細い葉っぱの上には行けませんので、カヤネズミはとっても安全なのでした。
お得意は、その細い葉っぱを前歯を上手に使ってもっともっと細くして、まん丸いカゴのボールのような巣を作ることです。とても器用な動物なのです。
ある日、カヤネズミはネズミの図書館に行きました。
カヤネズミは本を読むのが大好きなので図書館はいつもいっぱいです。
カヤネズミは図書館の本の中から「花園の宝物」という本を選んで読み始めました。
その本の中には、花園の中にあるというこの世で一番の宝物を探し出すヒントが書かれていました。
カヤネズミは、その世界で一番の宝物を見つけたいと思いながら夢中になって読みました。
ヒントをすっかり覚えたカヤネズミは、すぐに野原に飛び出しました。
まずは、「花園」を探し出すのです。ヒントは「虹の真ん中、時間も同じ」です。
カヤネズミは、山を見てすぐにわかりました。
「虹の真ん中の色は黄色。山を見れば、今咲いている黄色い花はヤマブキさんだけだ。時間も同じだから2時にあそこに行けばいいんだ」
そこで、カヤネズミはお昼の2時にヤマブキの細い枝をよじ登って、たくさんの黄色い花の真ん中に行きました。
花の真ん中は、とってもいい匂いがして、カヤネズミはうっとりしました。
次に、「宝物」のヒントは、「小さな命、糸は半分ずつ」です。
カヤネズミは、「糸は半分って何かな ? 」と思いました。
その時、ヤマブキの葉っぱがカサカサと鳴り出しました。
カヤネズミはびっくりして、立ち上がりました。
すると、小さなカヤネズミのメスが登ってきました。
カヤネズミはすぐにメロメロになりました。
「キ、キ、キミは、ボクの宝物だよ」とカヤネズミは告白しました。
2匹はすぐに仲良しになりました。
カヤネズミは「糸は半分ずつって、「絆」っいう字のことだったんだな」とわかりました。
やっぱり、仲良しのお友達が宝物だったんですね。
じゃ、おやすみ。


2012-05-24 21:38  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:育児

エゾシマリスと冬の北海道(小さな動物シリーズ) [小さな動物シリーズ]

北海道にエゾシマリスというかわいいリスが住んでいます。
チップとデールに似た感じの顔で、背中のシマシマ模様が特徴です。
身長は15センチくらいですから、とても小さなリスです。
さて、エゾシマリスは冬の間ずっと巣穴の中で眠っているので、その準備が大変でした。
ある日、エゾシマリスは冬眠用のベッドを作るために葉っぱをたくさん集めていました。
森の中をあっちに行ったり、こっちに行ったりしているとひとりのおじいさんがいることに気が付きました。
おじいさんは何かを探しているようで、木の枝を使って葉っぱをかき分けていました。
エゾシマリスはその様子をこっそりと見ていました。
おじいさんもあっちへ行ったり、こっちへ行ったりしていますが、なかなか探し物は見つからないようです。
エゾシマリスはだんだん夕暮れが近づいてきたので、おじいさんが心配になってきました。冬も近い森の夕暮れは、今日に寒くなってしまうからでした。
でも、おじいさんは夢中になって何かを探し続けています。そして、とうとう日が沈み、急に寒くなってきてしまいました。毛皮に包まれたエゾシマリスでさえも寒くなってきました。
おじいさんは、だんだん動きが遅くなり、眠そうな顔をしたかと思うと、とうとう草の上に倒れて寝てしまいました。このままではおじいさんは寒さで死んでしまいます。
エゾシマリスはおじいさんを起こそうとおじいさんの鼻を噛んだり、ほっぺをひっかいたりしましたが、おじいさんはもう寒くて動けないままでした。
エゾシマリスは涙をボロボロ流しました。
そのとき、不思議なことが起こりました。生まれてから今まで一度も声を出した事の無かったエゾシマリスが、大きな声で鳴いたのです。
その声は森中に聞こえました。
そして、それを聞いた全部のエゾシマリスが集まってきて、おじいさんの体にくっついたのでした。
それから何日が経ったでしょうか、北海道にもやっと春の気配がしてきた頃、エゾシマリスたちは、やっと冬眠から覚めました。
すると、「ふわぁぁぁぁぁ」とおじいさんも冬眠から覚めました。
おじいさんは寒い冬の間、たくさんのエゾシマリスたちに包まれて生きていたのです。
助かったおじいさんは、「そうそう、わしは、エゾシマリスにドングリをあげようと思ってしゃがんだときに落とした入れ歯を探しておったんじゃった」と言いました。
それを聞いた1匹のエゾシマリスが、ほおぶくろからボンっと入れ歯を出しました。
じゃ、おやすみ。


2012-05-27 09:52  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:育児

淋しいクマドリカエルアンコウ(小さな動物シリーズ) [小さな動物シリーズ]

広い海の中には、クマドリカエルアンコウという変わった名前の魚が住んでいます。
クマドリというのは、歌舞伎という舞台の役者さんが顔に塗る物で、遠くのお客さんからも顔がハッキリわかるように目や口を真っ赤に大きく書いたりする物です。
この魚は真っ白な体の所々が真っ赤な色になっていて、顔の辺りはそのクマドリにそっくりなのです。
アンコウは海のお魚で、口がとっても大きくて、ちょっと不細工な顔をした魚です。
そのアンコウのヒレの形が変わっていて、4本の足のようになっています。なんとなくカエルに似ているので、全部足してクマドリカエルアンコウなのです。
さて、そのクマドリカエルアンコウが海の底を散歩していました。
すると、近づいてきたエビもイカも魚たちも怖がって逃げて行ってしまいました。
ひとりぼっちで淋しくなったクマドリカエルアンコウは海を出て行く決心をしました。
陸に上がって、カエルのようにゲロゲロと鳴いて仲間に入れてもらおうとしましたが、カエルたちもクマドリが恐ろしくてみんな逃げて行ってしまいました。
クマドリカエルアンコウは悲しくなって、ゲロゲロ、ゲロゲロと鳴き続けました。
すると、バーンという音がして、クマドリカエルアンコウはなにか網のようなものに引っかかって動けなくなってしまい、気絶して倒れてしまいました。
いま、クマドリカエルアンコウは、街の水族館の水槽の中にいました。
子供たちがいっぱい来てくれて、クマドリカエルアンコウを「かわいい ! 」と言ってくれます。
たくさんの子供たちに囲まれたクマドリカエルアンコウはとても幸せな気持ちでした。
じゃ、おやすみ。


2012-05-28 22:30  nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:育児

エゾナキウサギだから鳴くんです(小さな動物シリーズ) [小さな動物シリーズ]

エゾナキウサギは名前の通りかわいい声で鳴きます。
前にお話に出てきたアマミノクロウサギも鳴きましたね。
ウサギは鳴かないと思っている人も多いかもしれませんが、鳴くウサギも結構いるのです。
今日のお話は、エゾナキウサギの中でも、一番大きな声で鳴くことができるウサギのお話です。
ある日、エゾナキウサギは高校生のマーチングバンドコンクールを見に来ました。マーチングバンドは、大勢の人が楽器を演奏しながら行進する物で、どれだけ乱れずに歩いたり形を上手に変えたりすることで1位を目指す物です。
ひとりでも間違えた動きをしてしまうと目立ってしまうので、コンクールに出る高校生はとても緊張していました。
ひとりの女子高校生が緊張しすぎて何度もずれたところでシンバルを叩いてしまっていました。
女子高校生は足も手もバラバラになってきて、音楽もどこがどこだかわからなくなってきてしまいました。
「どうしよう。全然わからなくなっちゃった」と泣きそうになったとき、耳の丸いウサギがいきなり肩に乗ってきました。
女子高校生は「キャっ ! 」と思いましたが、演奏中なのでなんとかこらえました。
すると、そのウサギがシンバルのタイミングを教えてくれるように「ピー。ピー」と鳴きました。
女子高校生はそのタイミングに合わせてシンバルを叩きました。すると、マーチングバンドはとてもきびきびした動きで行進を始めました。
先生は「今日のマーチングは、はじめはどこかずれていたが、途中からは今までで一番いいマーチングだったぞ」と褒めました。
女子高校生は耳の丸いエゾナキウサギをシャツのおなかに隠しながら、「この子は大切な宝物。大事に育てよう」と心で思いました。
じゃ、おやすみ。


2012-06-11 21:19  nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:育児

リスのオリンピック [小さな動物シリーズ]

森に住んでいるリスたちは木の実の種をおいしそうに食べます。歯がとても丈夫なので硬い種もカリカリと食べてしまいます。
木の実が地面にポロポロと落ちる頃はリスたちも大忙しです。木の実を拾っては食べたり、食べきれないものは土の中に埋めてしまったりするからです。リスが埋めてくれた種から芽が出て大きな木に成長することも多いので、木も、リスたちに種をご馳走してくれているのだと思います。
さて、リスたちは落ちた木の実を拾うと必ず木の高いところに登って食べます。
木の上にいるのだったら、落ちる前の木の枝にぶら下がっている木の実を食べた方が楽なような気がしますが、リスたちは木の枝にぶら下がっている木の実は決して食べません。地面に落ちた実だけを拾って、それをわざわざ木の高いところにまた運んで食べるのです。高いところで食べるのは、夢中になって食べていると危ないので、安全な木の上で食べるのですが、絶対に落ちた木の実しか食べないのは、落ちた木の実は木が「食べてもいいよ」と言ってくれた物だからなのです。木とリスはお互い、ちゃんと決まりを守って生きているのです。
わざわざ木の下に降りて木の実を拾ったらまた木の上に運ばなくてはならないので、リスたちは地面に落ちた木の実の中でも立派な種が入っている物を選んで木の上に運びます。そこで、リスは地面の木の実を一度両手で持ち上げて、重さを量ってから運ぶのです。頭がいいですね。
今日は、木の実の重さを量るリスたちのオリンピックが行われます。たくさんのリスたちが地面の木の実を拾っては、「よいしょ ! 」と重量挙げをするのです。
誰が一番重くて立派な種の入った木の実を探せるか、それがこのオリンピックの勝負です。
リスたちは一列に並んで重量挙げを始めました。
1匹のリスが持ち上げた木の実が一番重くて、金メダルをもらいました。
金メダルをもらったリスは大喜びで「わーい、わーい」と叫びました。周りのみんなは上手に前足で拍手をしてあげました。
金メダルをもらったリスは、その一番立派な種を、負けてしまったリスにあげました。リスの世界では、他の子が拾った種や、埋めておいた種は、誰が食べてもいいという決まりがあるのです。
ですからリスの世界にはケンカがありません。
きちんと決まりを守って生きているリスたちは、いつでも森の人気者でした。
じゃ、おやすみ。


2012-08-18 12:35  nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:育児

オグロプレーリードッグの得意技 その1 [小さな動物シリーズ]

プレーリードッグという動物はリスみたいな動物で、2本足で立って遠くを見る様子がとってもかわいい人気の動物です。
その仲間で尻尾が黒いオグロプレーリードッグは、立ち上がるだけじゃなくて、立ち上がったら両手でパチパチと拍手をするのが得意技です。

さて、ある幼稚園でAくんとBくんがケンカをしてしまいました。
Aくんは「Bくんが悪いんだよ。ボクのおもちゃを取ろうとしたんだ」と叫んでいます。Bくんは「ボクは、ちゃんとAくんに「一緒に遊ぼ」って言ったんだよ。それなのにAくんが貸してくれなかったんだ。Aくんが悪いんだよ」と泣きながら叫んでいます。
幼稚園の先生は、「ふたりとも、仲良く遊ばなきゃダメでしょ」と言っています。
でも、AくんもBくんも、「だって」「だって」と言ってケンカがおさまりません。
先生は困ってしまいました。
その時です。
園庭が見える窓の縁に1匹のオグロプレーリードッグがちょこんと現れて2本足で立ちました。
子供たちが「あっ ! 」と驚いていると、もう1匹、もう1匹とオグロプレーリードッグが並び始めました。
そして、10匹で一斉に「パチパチ、パチパチ」と得意の拍手を始めました。
子供たちは「かわいい ! 」と言って、子供たちも拍手をしました。
AくんとBくんも、ケンカを忘れて拍手しました。
Aくんは、「Bくん、ケンカしてごめんね」と言いました。Bくんは、「ボクもごめんね。一緒に遊んでくれる ? 」と言いました。Aくんは、「うん、仲良く遊ぼう」と言いました。
すると、いつの間にか園庭いっぱいに並んだオグロプレーリードッグが一斉に拍手をしました。
幼稚園は子供たちとオグロプレーリードッグの拍手に包まれました。
先生は「仲良しが一番よね。」と言いました。
じゃ、おやすみ。


2012-09-26 12:10  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:育児

オグロプレーリードッグの得意技 その2 [小さな動物シリーズ]

プレーリードッグの仲間で尻尾が黒いオグロプレーリードッグは、立ち上がるだけじゃなくて、立ち上がったら両手でパチパチと拍手をするのが得意技です。

ある小学校で運動会の練習をしていました。
Cくんは10人11脚のレースで1等賞をとろうと張り切っていました。
でも、Dくんの脚がみんなよりもだいぶ遅いので、どうしても練習レースで1等賞になれませんでした。
Cくんはみんなに言いました。「Dくんの脚がちょっと遅いのでみんなが転びそうになっています。10人11脚は最後の人がゴールしないとゴールにならないので、みんなだけ速く走ってもダメなんだよ。直線はDくんと同じ速さで走り、カーブの所は内側の人が外側の人のスピードに合わせてあげる様に協力しなくちゃいけないんだ」
それを聞いたみんなは、「そうだね。みんなで速さを調節する練習をしよう」と言いました。
それから運動会の本番まで、Cくんたちは一生懸命にみんなと心を合わせる練習をしました。
いよいよ運動会の日がやってきました。
CくんもDくんもみんなも、練習の成果を発揮しようと張り切っていました。
10人11脚のレースが始まりました。
Cくんたちは速さを合わせながら頑張って走りました。ところが、ゴール前でひとりが転んでしまったのです。みんなあせりました。
でも、「みんなで一緒にゴールするんだ」と心に決めていたので、転んだ子が立ち上がってひもを結び直して走る準備が出来るまで、みんなはきちんと待っていてくれたのです。
Cくんたちは、ずいぶんと遅れてゴールしました。
その時です。
ゴールラインの後ろにオグロプレーリードッグが一列に並んで「パチパチ」と拍手をしました。
それにつられて応援に来ていたお父さんお母さんたちも大きな拍手をしました。
CくんもDくんもみんなもニコニコの顔をしていました。
Cくんは「1等賞じゃなかったけど、なんだかうれしかった」と作文に書きました。
じゃ、おやすみ。


2012-09-28 10:01  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:育児

オグロプレーリードッグの得意技 その3 [小さな動物シリーズ]

プレーリードッグの仲間で尻尾が黒いオグロプレーリードッグは、立ち上がるだけじゃなくて、立ち上がったら両手でパチパチと拍手をするのが得意技です。

ある中学校で合唱練習をしていました。でも、どうもみんなのやる気が無くて、いい練習が出来ていませんでした。
Eさんは言いました。「最近、朝の合唱練習に遅れてくる人が多くなってきました。こんなことでは優勝なんて出来ないし、聞きに来てくれた保護者の皆さんにも笑われます。もっと、真剣に練習した方がいいと思います」
すると、Fくんが言い返しました。「だって、みんなとなりのクラスの方が絶対うまいって言ってるよ。練習したってダメだよ。歌なんて1日や2日でうまくなるわけないじゃん」
まわりのみんなも「そうだ。そうだ」というような顔をしています。Fくんは続けました。「だいたい、いつも同じような練習ばっかりで、つまんないんだよな。俺たちは合唱練習よりサッカーの練習の方が楽しいし」
それを聞いたピアノ伴奏の女の子は泣き出してしまいました。
Eさんは言いました。「わかったわ。楽しい練習になる様に工夫すればいいんでしょ ? だったら、明日からは全然違う練習をします。明日は絶対に遅れない様に集まって下さい」
Eさんは、その日1日合唱練習の仕方の事だけを考えていました。
次の日からクラスの合唱練習は全然違うものになりました。
その成果は合唱大会当日にハッキリと現れました。
EさんとFくんのクラスの合唱は、音は少しはずれていましたが、全員が顔の半分が口に見えるくらい大きく口を開けて大声で歌いました。それは、びっくりするほどの大きな声でした。
Eさんは朝練習で誰が一番大きな声を出せるかのコンテストをしたのでした。どんなに音痴でも大きな声を出せば褒めてもらえるので、男の子たちも一生懸命声を出したのでした。
合唱大会で歌い終えたEさんたちはとても誇らしい顔をしていました。保護者の皆さんも、先生たちも、他のクラスの子たちもびっくりして口をポカンと開けていました。
その時です。
一番前の席にオグロプレーリードッグが一列に並んで「パチパチ」と拍手しました。
中学校の体育館はみんなの大きな拍手に包まれました。
じゃ、おやすみ。


2012-09-29 10:00  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:育児

オグロプレーリードッグの得意技 その4 [小さな動物シリーズ]

プレーリードッグの仲間で尻尾が黒いオグロプレーリードッグは、立ち上がるだけじゃなくて、立ち上がったら両手でパチパチと拍手をするのが得意技です。

ある高校で文化祭のクラスの出し物について話し合っていました。
Gさんは「喫茶店がやりたいな」と言いました。
Hくんは「おばけ屋敷がいいな」と言いました。
Gさんは言いました。「男子はおばけになってもいいと思うけど、女子は何をするのよ」
Hくんは言いました。「女のおばけだっているだろ。女子もおばけになればいいじゃん」
Gさんは言い返します。「いやよ。おばけなんて。せっかくの文化祭なんだからかわいい格好がしたい」
みんなも「男子だけ楽しそう」とか「女子だけかわいい格好したら、俺たちはどうするんだよ」とか好き勝手に言い始めました。
その時、Iさんが「みんな、クラス全員の事を考えましょう。もう、高校生なんだから子供みたいな事は言わないで、譲り合ったらいいんじゃない ? 」と言いました。
その時です。
先生の机の上にオグロプレーリードッグが5匹現れて「パチパチ」と拍手をしました。
クラスのみんなも、つられて拍手をしました。
Hくんは、「わかったよ。じゃ、かわいい女の子のいる喫茶店でいいよ」と言いました。
Gさんも、「おばけ屋敷は子供たちも喜ぶし、おばけ屋敷でもいいわよ」と言いました。
GさんとHくんのクラスは、おばけ屋敷で大声で叫んだ人に、女の子たちがフレッシュジュースを飲ませてあげる出し物に決めました。
じゃ、おやすみ。


2012-09-30 09:36  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:育児

オグロプレーリードッグの得意技 その5 [小さな動物シリーズ]

プレーリードッグの仲間で尻尾が黒いオグロプレーリードッグは、立ち上がるだけじゃなくて、立ち上がったら両手でパチパチと拍手をするのが得意技です。

Uさんは、自分で小さな会社を作りました。
たくさん商品を売りたいので、社員のみんなに厳しく仕事をさせていました。
「何やってんだ。もっと頑張って来い ! 」
「もう一度行って、何度も頭を下げて売って来い ! 」
社長のUさんに叱られてばかりなので、社員のみんなは仕事がつらくて、本当に商品を売ろうという気持ちが起きませんでした。
会社の中はドヨーーーンとした空気が流れていました。
商品がだんだん売れなくなってきて、Uさんは気が付きました。
ある日、Uさんは社員のみんなに言いました。
「みんな、いままでガミガミ怒鳴ってばかりいてすまなかった。商品を売る事ばかり考えて、社員のみんなの事を全然考えていなかった。みんながこの会社とこの商品を愛してくれなかったら、商品なんて売れるはずがなかったんだ。君たちが頑張ってくれても売れないのだったら、もっといい商品を作るしかないんだ。君たちが悪いんじゃない。私が間違っていた。これからはみんなの意見を取り入れて、みんなが売りやすい方法でやりたいと思う」
急に言われた社員のみんなはびっくりした顔でポカンとしてしまっていました。
その時です。
会社の窓の縁にオグロプレーリードッグがやって来て、「パチパチ」と手を叩きました。
みんなは、またびっくりしましたが、社員のみんなも一緒になって「パチパチ」と拍手をしました。
Uさんは、「私の言った事は、正しかった……のかな ? 」と照れくさそうに言いました。
「社長 ! この商品は説明書の字を大きくすれば、お年寄りにも絶対喜んで頂けると思います。」
「うちの商品の良さをわかってもらう為に小さなお試し品を作ったらいいと思います」
社員たちは次々と会社のためのアイデアを出しました。
窓では20匹くらいのオグロプレーリードッグが一列に並んで「パチパチ」と拍手をしました。
Uさんも、今までで一番大きく拍手をしました。
じゃ、おやすみ。


2012-10-01 12:03  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:育児

青虫の悩み [小さな動物シリーズ]

ある森の中に、一匹の青虫が住んでいました。
青虫は花粉症でした。
春が近づいてくると、花粉で目がかゆくなり、鼻はむずむずして大変でした。
春はたくさんの葉っぱを食べて大きくならなければならないのに、花粉症の青虫は葉っぱに近づくことも出来ないでいました。
心配した仲間の青虫は青虫大王に裁判をしてもらうことにしました。
青虫大王は花粉症の青虫に言いました。
「おまえは青虫のくせに葉っぱに近づくことも出来ないそうじゃないか。青虫としてはまことに情けない。罰として、今すぐ花粉を10粒食べて見せなさい」
花粉症の青虫は泣きながら言いました。
「そんなぁ、見ただけでも涙が出てくる花粉を食べるなんて無理ですよぉ」
でも、青虫大王はきっぱりと言いました。
「だめだ。いますぐ食べなさい」
大王の命令ですから仕方がありません。青虫は目をつぶりながら花粉をガリガリっと食べました。
するとどうでしょう。噛んでしまえば花粉は何ともありません。
「平気だ !」花粉症の青虫はびっくりして叫びました。
大王は言いました。
「自分が苦手な物から逃げてばかりいるのは間違いなのだ。苦手な物やばい菌のない世界はない。ばい菌とも一緒に生きるのだ。わかったな」
大王のきびしい教えのおかげで青虫は強くなりました。そして、夏を迎える頃には立派な羽を持った大きな蝶になることができました。
青虫が成長した蝶は、自分の羽からまき散らす粉のためにくしゃみをしながら、今日も大空を力強く飛び回っています。
じゃ、おやすみ。

タグ:花粉症 青虫


2021-04-11 16:23  nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:育児

エゾシマリスと冬の北海道(小さな動物シリーズ) [小さな動物シリーズ]

北海道にエゾシマリスというかわいいリスが住んでいます。
チップとデールに似た感じの顔で、背中のシマシマ模様が特徴です。
身長は15センチくらいですから、とても小さなリスです。
さて、エゾシマリスは冬の間ずっと巣穴の中で眠っているので、その準備が大変でした。
ある日、エゾシマリスは冬眠用のベッドを作るために葉っぱをたくさん集めていました。
森の中をあっちに行ったり、こっちに行ったりしているとひとりのおじいさんがいることに気が付きました。
おじいさんは何かを探しているようで、木の枝を使って葉っぱをかき分けていました。
エゾシマリスはその様子をこっそりと見ていました。
おじいさんもあっちへ行ったり、こっちへ行ったりしていますが、なかなか探し物は見つからないようです。
エゾシマリスはだんだん夕暮れが近づいてきたので、おじいさんが心配になってきました。冬も近い森の夕暮れは、急に寒くなってしまうからでした。
でも、おじいさんは夢中になって何かを探し続けています。そして、とうとう日が沈み、急に寒くなってきてしまいました。毛皮に包まれたエゾシマリスでさえも寒くなってきました。
おじいさんは、だんだん動きが遅くなり、眠そうな顔をしたかと思うと、とうとう草の上に倒れて寝てしまいました。このままではおじいさんは寒さで死んでしまいます。
エゾシマリスはおじいさんを起こそうとおじいさんの鼻を噛んだり、ほっぺをひっかいたりしましたが、おじいさんはもう寒くて動けないままでした。
エゾシマリスは涙をボロボロ流しました。
そのとき、不思議なことが起こりました。生まれてから今まで一度も声を出した事の無かったエゾシマリスが大きな声で鳴いたのです。
その声は森中に聞こえました。
そして、それを聞いた全部のエゾシマリスが集まってきて、おじいさんの体にくっついたのでした。
それから何日が経ったでしょうか、北海道にもやっと春の気配がしてきた頃、エゾシマリスたちは、やっと冬眠から覚めました。
すると、「ふわぁぁぁぁぁ」とおじいさんも冬眠から覚めました。
おじいさんは寒い冬の間、たくさんのエゾシマリスたちに包まれて生きていたのです。
助かったおじいさんは、「そうそう、わしは、エゾシマリスにドングリをあげようと思ってしゃがんだときに落とした入れ歯を探しておったんじゃった」と言いました。
それを聞いた1匹のエゾシマリスが、ほおぶくろからボンっと入れ歯を出しました。
じゃ、おやすみ。


2021-08-20 11:22  nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:育児

田んぼのヤマネ(小さな動物シリーズ) [小さな動物シリーズ]

ある村にヤマネが住んでいました。
ヤマネは人里近くに住んでいる小さな動物で、特徴は背中の真ん中に真っ直ぐ伸びた黒い一本線があることです。
体が小さいので細い枝を上手に歩くことが出来るのですが、背中の黒い一本線がちょうど枝と重なって、他の動物には細い木の枝にしか見えないのです。
さて、そのヤマネが田んぼでおばあちゃんに会いました。
おばあちゃんにはヤマネは小さ過ぎてよく見えませんでした。
ヤマネは、おばあちゃんが大変そうに田んぼ仕事をしているので心配でした。
ヤマネはおばあちゃんの肩に乗って応援しましたが、おばあちゃんは耳が遠いのでヤマネの声には気が付いてくれませんでした。
おばあちゃんが植えた稲の苗が曲がっていたりすると、ヤマネは一生懸命に苗を真っ直ぐに直しました。おばあちゃんは手が震えるので、上手に真っ直ぐに苗を植えることが出来ないのでした。
ヤマネはおばあちゃんの腰にくっついて、おばあちゃんの腰が痛くならないように腰を揉んだりしました。
でも、おばあちゃんの腰はすっかり固くなってしまっていて、小さなヤマネが揉んでも全然ほぐれませんでした。
ヤマネは「おばあちゃんは、ずいぶん長い間この田んぼで働き続けてきたんだなぁ」と思いました。
ヤマネは仲間をたくさん呼びました。
そして、たくさんのヤマネたちは、おばあちゃんの田んぼに2列に並びました。すると、おばあちゃんは2列のヤマネの間しか歩けなくなったので、自然に真っ直ぐに苗を植えることが出来るようになりました。
ヤマネの背中の一本線が繋がって、田んぼはシマシマ模様になっていました。
それを見たヤマネは、いい考えが浮かびました。
ヤマネは仲間たちに頼んで、田んぼに順番に並んでもらいました。
ヤマネの背中の一本線が繋がって、「オバアチャン、ダイスキ ! 」という字になりました。
おばあちゃんは目がよく見えないので、その字は見えなかったと思いますが、とっても嬉しそうな顔をして、「あとは、ほったらかしていてもお米ができるぞぉ」と言いました。
ヤマネは「おばあちゃん元気そうだ。よかった」と思いました。
じゃ、おやすみ。


2022-09-22 10:28  nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:育児

リスのオリンピック [小さな動物シリーズ]

森に住んでいるリスたちは木の実の種をおいしそうに食べます。歯がとても丈夫なので硬い種もカリカリと食べてしまいます。
木の実が地面にポロポロと落ちる頃はリスたちも大忙しです。木の実を拾っては食べたり、食べきれないものは土の中に埋めてしまったりするからです。リスが埋めてくれた種から芽が出て大きな木に成長することも多いので、木も、リスたちに種をご馳走してくれているのだと思います。
さて、リスたちは落ちた木の実を拾うと必ず木の高いところに登って食べます。
木の上にいるのだったら、落ちる前の木の枝にぶら下がっている木の実を食べた方が楽なような気がしますが、リスたちは木の枝にぶら下がっている木の実は決して食べません。地面に落ちた実だけを拾って、それをわざわざ木の高いところにまた運んで食べるのです。高いところで食べるのは、夢中になって食べていると危ないので、安全な木の上で食べるのですが、絶対に落ちた木の実しか食べないのは、落ちた木の実は木が「食べてもいいよ。」と言ってくれた物だからなのです。木とリスはお互い、ちゃんと決まりを守って生きているのです。
わざわざ木の下に降りて木の実を拾ったらまた木の上に運ばなくてはならないので、リスたちは地面に落ちた木の実の中でも立派な種が入っている物を選んで木の上に運びます。そこで、リスは地面の木の実を一度両手で持ち上げて、重さを量ってから運ぶのです。頭がいいですね。
今日は、木の実の重さを量るリスたちのオリンピックが行われます。たくさんのリスたちが地面の木の実を拾っては、「よいしょ ! 」と重量挙げをするのです。
誰が一番重くて立派な種の入った木の実を探せるか、それがこのオリンピックの勝負です。
リスたちは一列に並んで重量挙げを始めました。
1匹のリスが持ち上げた木の実が一番重くて、金メダルをもらいました。
金メダルをもらったリスは大喜びで「わーい、わーい」と叫びました。周りのみんなは上手に前足で拍手をしてあげました。
金メダルをもらったリスは、その一番立派な種を、負けてしまったリスにあげました。リスの世界では、他の子が拾った種や、埋めておいた種は、誰が食べてもいいという決まりがあるのです。
ですからリスの世界にはケンカがありません。
きちんと決まりを守って生きているリスたちは、いつでも森の人気者でした。
じゃ、おやすみ。


2023-08-04 11:37  nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:育児

読み上げ版 カワネズミとおばあさんの涙 [小さな動物シリーズ]

自動読み上げソフトに「とっても眠れるお話」を読んでもらいました
どうでしょうか?



カワネズミとおばあさんの涙

ある美しい川の中にカワネズミが住んでいました。
カワネズミは実はネズミの仲間ではなくて、モグラの仲間です。
でも、モグラみたいに土の中に住んでいるのでもなくて、名前の通り、川の中をまるでビーバーのようにすいすい泳ぎ回っては、アユやイワナなどの魚を手づかみする器用者なのです。
さて、その川に一人のおばあさんがやってきました。
おばあさんはその美しい川の流れをしばらくぼんやりと見ているようでした。
カワネズミは「おばあさんがこの川に来るとは珍しいな。」と思って見ていました。
おばあさんは、近くの笹の葉を摘んでは、笹舟を作り、川に流し始めました。
おばあさんは休むことなく笹舟を作り、どんどん、どんどん川に流しました。
カワネズミが不思議に思ってみていると、おばあさんの目から涙がポロポロ、ポロポロと流れていることに気がつきました。
カワネズミには、何が何だかわかりませんでしたが、おばあさんを元気にしてあげなきゃ、と思いました。
そこで、カワネズミは、そっと川の中に入ると、流れてくる笹舟をしっぽでぴょんっと跳ね上げました。次から次へと流れてくる笹舟を次から次へと、ぴょんぴょん、ぴょんぴょん跳ね上げました。
それを見たおばあさんは目をまん丸くして驚きました。
それからカワネズミはイワナを捕まえて、おばあさんの足下にぴょんっと投げました。
何匹も何匹もイワナを捕まえては、おばあさんの足下にぴょんっと投げました。
おばあさんは、またまたびっくりです。
カワネズミは近くの岸に上がっておばあさんの様子を見ていました。
おばあさんは、「死んだおじいさんは、いたずら好きでしたねぇ。こんないたずらをするのはおじいさんに違いない。ふふふふ、おじいさん、あの世に行っても楽しそうだねぇ。おじいさん、ありがとう。何だか元気になってきましたよ」と独り言を言って、嬉しそうにイワナを拾って帰りました。
カワネズミにはわかりませんでしたが、おばあさんが嬉しそうな顔になったので、よかった、よかったと思いました。
それから、何日かおきに、川原におだんごが置かれるようになりました。
カワネズミはおだんごをおいしくいただきました。それが、カワネズミへの贈り物であることは、カワネズミにもすぐにわかりました。なぜなら、そのおだんごは、上手に作った笹舟の中に入っていたからです。
じゃ、おやすみ。


2023-09-17 18:30  nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:育児

読み上げ版 青虫の悩み [小さな動物シリーズ]



ある森の中に、一匹の青虫が住んでいました。
青虫は花粉症でした。
春が近づいてくると、花粉で目がかゆくなり、鼻はむずむずして大変でした。
春はたくさんの葉っぱを食べて大きくならなければならないのに、花粉症の青虫は葉っぱに近づくことも出来ないでいました。
心配した仲間の青虫は青虫大王に裁判をしてもらうことにしました。
青虫大王は花粉症の青虫に言いました。
「おまえは青虫のくせに葉っぱに近づくことも出来ないそうじゃないか。青虫としてはまことに情けない。罰として、今すぐ花粉を10粒食べて見せなさい」
花粉症の青虫は泣きながら言いました。
「そんなぁ、見ただけでも涙が出てくる花粉を食べるなんて無理ですよぉ」
でも、青虫大王はきっぱりと言いました。
「だめだ。いますぐ食べなさい」
大王の命令ですから仕方がありません。青虫は目をつぶりながら花粉をガリガリっと食べました。
するとどうでしょう。噛んでしまえば花粉は何ともありません。
「平気だ !」花粉症の青虫はびっくりして叫びました。
大王は言いました。
「自分が苦手な物から逃げてばかりいるのは間違いなのだ。苦手な物やばい菌のない世界はない。ばい菌とも一緒に生きるのだ。わかったな!」
大王のきびしい教えのおかげで青虫は強くなりました。そして、夏を迎える頃には立派な羽を持った大きな蝶になることができました。
青虫が成長した蝶は、自分の羽からまき散らす粉のためにくしゃみをしながら、今日も大空を力強く飛び回っています。
じゃ、おやすみ。


2024-02-17 09:02  nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:育児

読み上げ版 白と黒の小鳥 [小さな動物シリーズ]



ある町に女の子が住んでいました。
その町には、たくさんの木が植えてあり、たくさんの花が咲いていました。
女の子は町中が公園みたいなこの町でのびのびと遊んでいました。
この町には、たくさんの小鳥たちも遊びにやってきました。
女の子の、一番のお気に入りの小鳥はセキレイでした。
「セキレイきれい。セキレイきれい」と女の子はいつも歌っていました。
セキレイのどこがそんなに好きかと言うと、鳥なのに、飛ぶよりも走るのが好きみたいに、いつもそこらへんを走り回っているところが好きなのでした。
飛んでいる鳥は遠くて見えません。鳩のように近づいても全然逃げず、かえって近づいてくる鳥は、ちょっと怖いのですが、セキレイは地面を走っているので小さな女の子にもよく見えますし、追いかけると、ちょうどいい早さで逃げてくれるので、一緒に遊んでいるみたいで楽しいのです。走る姿もシャンとしていて立派です。
それと、体の模様が白と黒でとってもきれいです。
ある日、ひとりのおじいさんが木の下のベンチで新聞を読んでいたとき、足元をセキレイがチョロチョロと走り回りました。
おじいさんは、「なんだ、セキレイか。かわいい走り方をするなぁ」と思いました。
おじいさんが微笑んだのに気付いたかのように、セキレイはおじいさんに少しずつ近づいてきました。
おじいさんは、「セキレイが人に近寄ってくるなんて、珍しいなぁ」と思いました。
すると、セキレイはおじいさんの膝から肩に登ってきました。おじいさんはびっくり。「こんなに人に慣れたセキレイは初めてだ」
そして、おじいさんは思い出しました。
「セキレイと言えば、幼なじみのばあさんが子供の頃に、よく追いかけっこをして遊んだと言っていたなぁ。久しぶりに会いに行ってみるかな」
そう言ったのがわかったかのようにセキレイはうれしそうに空へ飛んでいきました。
幼なじみのおばあさんの家を訪ねてみると、「おばあさんは今朝、死んでしまいました。とても安らかに、幸せそうに亡くなったんですよ」と家の人が教えてくれました。
おじいさんはびっくりしましたが、その家の上の空をうれしそうに飛んでいるセキレイをみつけると、不思議と幸せな気持ちになっていました。
じゃ、おやすみ。


2024-03-13 18:41  nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:育児

小さな動物シリーズ ブログトップ

このブログの更新情報が届きます

すでにブログをお持ちの方は[こちら]