SSブログ

読み上げ版 お母さんが大好き [作者のおすすめ]



ある町に素敵な花屋さんがありました。
この花屋さんはひとりのお母さんが一生懸命続けているお店でした。
女の子は、そんなお母さんを見ながら育ちました。
「お母さんは偉いなぁ。お花の勉強だけでも大変なのに、朝早くから花の仕入れに行って、私の朝ご飯を作ってくれて、お店のお掃除をして、きれいに花を飾って、お店を開いても、ずっとお客さんを待っていなきゃならないし、質問されたら何でもすぐに答えなきゃいけないし、時々配達にも行くし、お昼はひとりで簡単な物しか食べられないし、お店を閉めるにも、花の後始末はとても大変そうだし、晩ご飯に、お風呂の準備、洗濯、掃除、その日のお金の出入りを記録しているし、とにかく大変な1日だなぁ」
そう考えると、女の子は何かお母さんが喜ぶお手伝いをしたくなってきました。
でも、まだ小学生の女の子に出来ることは、あまりありませんでした。
そこで、せめて自分のことは自分でやろうと決めました。
次の日から、自分の食器は自分で洗いました。乾いた洗濯物は自分でたたんで、自分のタンスにしまいました。
そんな女の子の変化を、お母さんはすぐに気付いていました。
しばらくして、小学校で授業参観がありました。女の子のお母さんは、「いつも、お店で、授業参観に行ってあげられなかったけど、今度の授業参観はお店をお休みにして行くわ」と言ってくれました。それを聞いた女の子はワクワクしていました。
授業参観では、子供たちが「将来の夢」という作文をみんなの前で読みました。
女の子は、大きな声で「私の将来の夢は、お母さんと一緒にお花屋さんを頑張ることです」と言いました。
授業参観の帰り道、ふたりは手をつないで帰りました。
お母さんは「今日はお店お休みだから、ふたりで公園に行こう」と言いました。
公園で、女の子はたくさんの花を摘んで、ベンチに並べました。
小さな子がその花を見に来ると、女の子は、「今日はこのお花がおすすめですよ」と言いました。
それを聞いたお母さんは、女の子を強く抱きしめました。
じゃ、おやすみ


2024-01-17 15:55  nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:育児

読み上げ版 ツボワムシの楽しい一日





ツボワムシという生き物がいます。
名前はムシですが、ツボワムシはとっても小さくて、目の悪い人には見えないくらいの生き物です。
このツボワムシの命は、たったの7日から14日くらいしかありません。
ツボワムシの1日は、人間の10年くらいと同じなのです。
そんなわけで、ツボワムシは生まれた次の日には赤ちゃんを産みます。どんどん赤ちゃんを産むので、ツボワムシはどんどん増えます。
おサカナたちはこのツボワムシが大好きで、パクパク食べてしまうのですが、ツボワムシは全然減らないのです。びっくりですね。
さて、あるきれいな海にツボワムシが1匹生まれました。
「やったー。元気に生まれたぞ」
「おサカナに食べられちゃう前に急いでやりたいことをやらなくちゃ」
そう考えたツボワムシはすぐにお友達を捜しに行きました。
お友達はすぐに見つかりました。
ツボワムシの周りはツボワムシでいっぱいですから当たり前です。
お友達とダンスをしたり、誰が一番速く泳げるか競争したり、昆布にくっついてゆらゆら揺られてみたりして遊びました。
「よーし、今度はみんなで手をつないで綱引きごっこをしよう」
そう言って、みんなで手をつないで1つになった時、きらっと光る大きなサカナが大きな口でツボワムシたちをパクパクっと食べてしまいました。
「わぁ、体が溶けていくぅ」
ツボワムシはそう思いましたが、もう何がなんだかわからなくなって、夢の中に入っていくようでした。
それからしばらくすると「ポッカーン」
ツボワムシは「やったー、元気に生まれたぞ」
「なーんだ。おサカナに食べられても、ボクすぐにまた生まれるんだ。これなら何回食べられたって平気だよ」
周りのツボワムシたちも、近くにおサカナがいてもにこにこしています。
みんな食べられても平気なことを知っているのです。
ツボワムシは今日も赤ちゃんを産んだり、おサカナに食べられたりしながら、楽しく遊んでいます。
じゃ、おやすみ。


2023-12-18 17:53  nice!(0)  コメント(1) 
共通テーマ:育児

読み上げ版 アメリカクロクマの進化 [作者のおすすめ]





カナダという国のある島には「アメリカクロクマ」という熊が住んでいますが、なぜかその半分くらいは真っ白な体をしていました。真っ白でも、「クロクマ」でした。
それは、白い熊と黒い熊は、まったく同じ熊で、黒い熊から白い熊が生まれたりするので、区別は出来ないのです。白い猫と黒い猫がいるようなものです。熊は猫の仲間ですし。
言ってしまえば、「アメリカクロクマ」という名前を付けた人がまぬけなのでした。
さて、このアメリカクロクマたちが運動会を始めました。
かけっこをしたり、お魚を誰が一番早く捕まえられるか競争したり、ジャンプの高さで勝負したり、自分たちの体の色を使ってオセロをしたり、泣き声コンテストや、ミスクロクマコンテスト、力自慢大会など、それはそれはいろいろな種目で1位を決めていきました。
その中で、たくさんの1位を取った白い熊と黒い熊が1頭ずついました。
この2頭は最高のチャンピオンを決めようと取っ組み合いの相撲みたいな事を始めました。
みんなは自分の体と同じ色の熊を応援しましたので、いつの間にか黒組対白組に分かれて、大変な盛り上がりになりました。
2頭は抱きついたまま、ゴロンゴロンと転がり始めました。応援していたみんなも、つられてゴロンゴロンと転がり始めました。
あまりにも勢いよく転がったので、カナダを通り越して、ロシアまで転がってしまいました。
それでも、勝負は付かず、とうとうロシアを通り越して中国まで転がってしまいました。そこにある長————いお城にぶつかって、やっとみんな止まることが出来ました。
取っ組み合っていた2頭もあまりの転がりぐあいに「あはははは」と笑いました。
もう1位はどっちでもよくなり、2頭は仲良しになりました。
応援していたみんなも仲良しになりました。
その時には、あんまり長い間取っ組み合って転がってきたので、白い熊と黒い熊は混ざり合って「パンダ」になっていました。
じゃ、おやすみ。


2023-11-20 18:28  nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:育児

このブログの更新情報が届きます

すでにブログをお持ちの方は[こちら]