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読み上げ版 カワネズミとおばあさんの涙 [小さな動物シリーズ]

自動読み上げソフトに「とっても眠れるお話」を読んでもらいました
どうでしょうか?



カワネズミとおばあさんの涙

ある美しい川の中にカワネズミが住んでいました。
カワネズミは実はネズミの仲間ではなくて、モグラの仲間です。
でも、モグラみたいに土の中に住んでいるのでもなくて、名前の通り、川の中をまるでビーバーのようにすいすい泳ぎ回っては、アユやイワナなどの魚を手づかみする器用者なのです。
さて、その川に一人のおばあさんがやってきました。
おばあさんはその美しい川の流れをしばらくぼんやりと見ているようでした。
カワネズミは「おばあさんがこの川に来るとは珍しいな。」と思って見ていました。
おばあさんは、近くの笹の葉を摘んでは、笹舟を作り、川に流し始めました。
おばあさんは休むことなく笹舟を作り、どんどん、どんどん川に流しました。
カワネズミが不思議に思ってみていると、おばあさんの目から涙がポロポロ、ポロポロと流れていることに気がつきました。
カワネズミには、何が何だかわかりませんでしたが、おばあさんを元気にしてあげなきゃ、と思いました。
そこで、カワネズミは、そっと川の中に入ると、流れてくる笹舟をしっぽでぴょんっと跳ね上げました。次から次へと流れてくる笹舟を次から次へと、ぴょんぴょん、ぴょんぴょん跳ね上げました。
それを見たおばあさんは目をまん丸くして驚きました。
それからカワネズミはイワナを捕まえて、おばあさんの足下にぴょんっと投げました。
何匹も何匹もイワナを捕まえては、おばあさんの足下にぴょんっと投げました。
おばあさんは、またまたびっくりです。
カワネズミは近くの岸に上がっておばあさんの様子を見ていました。
おばあさんは、「死んだおじいさんは、いたずら好きでしたねぇ。こんないたずらをするのはおじいさんに違いない。ふふふふ、おじいさん、あの世に行っても楽しそうだねぇ。おじいさん、ありがとう。何だか元気になってきましたよ」と独り言を言って、嬉しそうにイワナを拾って帰りました。
カワネズミにはわかりませんでしたが、おばあさんが嬉しそうな顔になったので、よかった、よかったと思いました。
それから、何日かおきに、川原におだんごが置かれるようになりました。
カワネズミはおだんごをおいしくいただきました。それが、カワネズミへの贈り物であることは、カワネズミにもすぐにわかりました。なぜなら、そのおだんごは、上手に作った笹舟の中に入っていたからです。
じゃ、おやすみ。


2023-09-17 18:30  nice!(0)  コメント(0) 
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白と黒の小鳥

ある町に女の子が住んでいました。
その町には、たくさんの木が植えてあり、たくさんの花が咲いていました。
女の子は町中が公園みたいなこの町でのびのびと遊んでいました。
この町には、たくさんの小鳥たちも遊びにやってきました。
女の子の、一番のお気に入りの小鳥はセキレイでした。
「セキレイきれい。セキレイきれい」と女の子はいつも歌っていました。
セキレイのどこがそんなに好きかと言うと、鳥なのに、飛ぶよりも走るのが好きみたいに、いつもそこらへんを走り回っているところが好きなのでした。
飛んでいる鳥は遠くて見えません。鳩のように近づいても全然逃げず、かえって近づいてくる鳥は、ちょっと怖いのですが、セキレイは地面を走っているので小さな女の子にもよく見えますし、追いかけると、ちょうどいい早さで逃げてくれるので、一緒に遊んでいるみたいで楽しいのです。走る姿もシャンとしていて立派です。
それと、体の模様が白と黒でとってもきれいです。
ある日、ひとりのおじいさんが木の下のベンチで新聞を読んでいたとき、足元をセキレイがチョロチョロと走り回りました。
おじいさんは、「なんだ、セキレイか。かわいい走り方をするなぁ」と思いました。
おじいさんが微笑んだのに気付いたかのように、セキレイはおじいさんに少しずつ近づいてきました。
おじいさんは、「セキレイが人に近寄ってくるなんて、珍しいなぁ」と思いました。
すると、セキレイはおじいさんの膝から肩に登ってきました。おじいさんはびっくり。「こんなに人に慣れたセキレイは初めてだ」
そして、おじいさんは思い出しました。
「セキレイと言えば、幼なじみのばあさんが子供の頃に、よく追いかけっこをして遊んだと言っていたなぁ。久しぶりに会いに行ってみるかな」
そう言ったのがわかったかのようにセキレイはうれしそうに空へ飛んでいきました。
幼なじみのおばあさんの家を訪ねてみると、「おばあさんは今朝、死んでしまいました。とても安らかに、幸せそうに亡くなったんですよ」と家の人が教えてくれました。
おじいさんはびっくりしましたが、その家の上の空をうれしそうに飛んでいるセキレイをみつけると、不思議と幸せな気持ちになっていました。
じゃ、おやすみ。


2023-09-04 14:10  nice!(0)  コメント(0) 
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リスのオリンピック [小さな動物シリーズ]

森に住んでいるリスたちは木の実の種をおいしそうに食べます。歯がとても丈夫なので硬い種もカリカリと食べてしまいます。
木の実が地面にポロポロと落ちる頃はリスたちも大忙しです。木の実を拾っては食べたり、食べきれないものは土の中に埋めてしまったりするからです。リスが埋めてくれた種から芽が出て大きな木に成長することも多いので、木も、リスたちに種をご馳走してくれているのだと思います。
さて、リスたちは落ちた木の実を拾うと必ず木の高いところに登って食べます。
木の上にいるのだったら、落ちる前の木の枝にぶら下がっている木の実を食べた方が楽なような気がしますが、リスたちは木の枝にぶら下がっている木の実は決して食べません。地面に落ちた実だけを拾って、それをわざわざ木の高いところにまた運んで食べるのです。高いところで食べるのは、夢中になって食べていると危ないので、安全な木の上で食べるのですが、絶対に落ちた木の実しか食べないのは、落ちた木の実は木が「食べてもいいよ。」と言ってくれた物だからなのです。木とリスはお互い、ちゃんと決まりを守って生きているのです。
わざわざ木の下に降りて木の実を拾ったらまた木の上に運ばなくてはならないので、リスたちは地面に落ちた木の実の中でも立派な種が入っている物を選んで木の上に運びます。そこで、リスは地面の木の実を一度両手で持ち上げて、重さを量ってから運ぶのです。頭がいいですね。
今日は、木の実の重さを量るリスたちのオリンピックが行われます。たくさんのリスたちが地面の木の実を拾っては、「よいしょ ! 」と重量挙げをするのです。
誰が一番重くて立派な種の入った木の実を探せるか、それがこのオリンピックの勝負です。
リスたちは一列に並んで重量挙げを始めました。
1匹のリスが持ち上げた木の実が一番重くて、金メダルをもらいました。
金メダルをもらったリスは大喜びで「わーい、わーい」と叫びました。周りのみんなは上手に前足で拍手をしてあげました。
金メダルをもらったリスは、その一番立派な種を、負けてしまったリスにあげました。リスの世界では、他の子が拾った種や、埋めておいた種は、誰が食べてもいいという決まりがあるのです。
ですからリスの世界にはケンカがありません。
きちんと決まりを守って生きているリスたちは、いつでも森の人気者でした。
じゃ、おやすみ。


2023-08-04 11:37  nice!(0)  コメント(0) 
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