Bくんとおばあちゃんの夏休み
Bくんは夏休みにおばあちゃんの家に遊びに来ていました。
今年から中学生になったBくんは、初めて一人で列車に乗っておばあちゃんの家まで来たのでした。ですから、列車に乗った時から、もうBくんの特別な夏休みが始まっていたのでした。
おばあちゃんの住む村の近くの大きな町まで2時間も列車に揺られていました。Bくんは今回の旅にはゲームを持って行かないと決めていたので、2時間の間、どうやって時間をつぶそうかと考えました。そして、おばあちゃんにお世話になるのだから、おばあちゃんに手紙を書くことに決めたのでした。列車に乗っている間、Bくんはボールペンで、なるべく丁寧な字で、おばあちゃんに渡す手紙を書き続けました。そのおかげで、2時間という時間も、あっという間に過ぎてしまいました。
その町からおばあちゃんの住む村までは各駅列車に乗り継いで行きました。小さな村の駅を降りると、おばあちゃんはニコニコの顔でBくんのお迎えに来てくれていました。Bくんもニコニコの顔で「おばあちゃん、遊びに来たよ ! 」と言いました。
Bくんはおばあちゃんの家に着いて、一番最初におばあちゃんの肩もみをしました。おばあちゃんは肩を揉まれながら「極楽。極楽」と言いました。
おばあちゃんがご飯を作ってくれている間にBくんがお風呂を洗ってお湯の準備をしました。おばあちゃんがBくんにご飯を盛ってあげて、Bくんがおばあちゃんの背中を流しました。Bくんが布団を敷いてあげると、おばあちゃんが昔話を聞かせてくれました。
夏休みの間、Bくんはおばあちゃんのためになることを考え、おばあちゃんはBくんが喜ぶことを考えました。
Bくんにとって、とても楽しい夏休みが過ぎていくと、お盆になりました。
ふたりはおじいちゃんのお墓を拝みに行きました。おばあちゃんはとても嬉しそうな、安心したような顔でBくんをみつめていました。
Bくんが家に帰る日、おばあちゃんは駅まで見送りに来てくれました。
Bくんは、「これ、おばあちゃん家に来る時に列車の中で書いたんだ。読んでね。」と言って手紙を渡しました。
おばあちゃんは「また、いつでも遊びにおいで」と言っていつまでも手を振ってくれました。
家に帰ってBくんからもらった手紙を見てみると、そこには「おばあちゃんにしてあげたいこと」と書かれていて、「肩を揉んであげる」から始まって、この夏にBくんがしてくれたことが並んで書いてありました。
「こんなにたくさんのことを、おばあちゃんのためにしてくれたんだねぇ」と思うとおばあちゃんは涙が止まりませんでした。
一番最後の行には「おばあちゃんを淋しくさせないこと」と書いてありました。
おばあちゃんは涙を拭こうと洗面台に行きました。
するとそこには、おばあちゃんがいつも使っているコップの中に、おばあちゃんとBくんの歯ブラシが仲良く入っていました。
おばあちゃんは、「Bくんありがとう。これで、おばあちゃんは全然淋しくなんかないよ」と言いました。
じゃ、おやすみ。
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