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読み上げ版 白と黒の小鳥 [小さな動物シリーズ]



ある町に女の子が住んでいました。
その町には、たくさんの木が植えてあり、たくさんの花が咲いていました。
女の子は町中が公園みたいなこの町でのびのびと遊んでいました。
この町には、たくさんの小鳥たちも遊びにやってきました。
女の子の、一番のお気に入りの小鳥はセキレイでした。
「セキレイきれい。セキレイきれい」と女の子はいつも歌っていました。
セキレイのどこがそんなに好きかと言うと、鳥なのに、飛ぶよりも走るのが好きみたいに、いつもそこらへんを走り回っているところが好きなのでした。
飛んでいる鳥は遠くて見えません。鳩のように近づいても全然逃げず、かえって近づいてくる鳥は、ちょっと怖いのですが、セキレイは地面を走っているので小さな女の子にもよく見えますし、追いかけると、ちょうどいい早さで逃げてくれるので、一緒に遊んでいるみたいで楽しいのです。走る姿もシャンとしていて立派です。
それと、体の模様が白と黒でとってもきれいです。
ある日、ひとりのおじいさんが木の下のベンチで新聞を読んでいたとき、足元をセキレイがチョロチョロと走り回りました。
おじいさんは、「なんだ、セキレイか。かわいい走り方をするなぁ」と思いました。
おじいさんが微笑んだのに気付いたかのように、セキレイはおじいさんに少しずつ近づいてきました。
おじいさんは、「セキレイが人に近寄ってくるなんて、珍しいなぁ」と思いました。
すると、セキレイはおじいさんの膝から肩に登ってきました。おじいさんはびっくり。「こんなに人に慣れたセキレイは初めてだ」
そして、おじいさんは思い出しました。
「セキレイと言えば、幼なじみのばあさんが子供の頃に、よく追いかけっこをして遊んだと言っていたなぁ。久しぶりに会いに行ってみるかな」
そう言ったのがわかったかのようにセキレイはうれしそうに空へ飛んでいきました。
幼なじみのおばあさんの家を訪ねてみると、「おばあさんは今朝、死んでしまいました。とても安らかに、幸せそうに亡くなったんですよ」と家の人が教えてくれました。
おじいさんはびっくりしましたが、その家の上の空をうれしそうに飛んでいるセキレイをみつけると、不思議と幸せな気持ちになっていました。
じゃ、おやすみ。


2024-03-13 18:41  nice!(0)  コメント(0) 
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