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読み上げ版 青虫の悩み [小さな動物シリーズ]



ある森の中に、一匹の青虫が住んでいました。
青虫は花粉症でした。
春が近づいてくると、花粉で目がかゆくなり、鼻はむずむずして大変でした。
春はたくさんの葉っぱを食べて大きくならなければならないのに、花粉症の青虫は葉っぱに近づくことも出来ないでいました。
心配した仲間の青虫は青虫大王に裁判をしてもらうことにしました。
青虫大王は花粉症の青虫に言いました。
「おまえは青虫のくせに葉っぱに近づくことも出来ないそうじゃないか。青虫としてはまことに情けない。罰として、今すぐ花粉を10粒食べて見せなさい」
花粉症の青虫は泣きながら言いました。
「そんなぁ、見ただけでも涙が出てくる花粉を食べるなんて無理ですよぉ」
でも、青虫大王はきっぱりと言いました。
「だめだ。いますぐ食べなさい」
大王の命令ですから仕方がありません。青虫は目をつぶりながら花粉をガリガリっと食べました。
するとどうでしょう。噛んでしまえば花粉は何ともありません。
「平気だ !」花粉症の青虫はびっくりして叫びました。
大王は言いました。
「自分が苦手な物から逃げてばかりいるのは間違いなのだ。苦手な物やばい菌のない世界はない。ばい菌とも一緒に生きるのだ。わかったな!」
大王のきびしい教えのおかげで青虫は強くなりました。そして、夏を迎える頃には立派な羽を持った大きな蝶になることができました。
青虫が成長した蝶は、自分の羽からまき散らす粉のためにくしゃみをしながら、今日も大空を力強く飛び回っています。
じゃ、おやすみ。


2024-02-17 09:02  nice!(0)  コメント(0) 
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