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なめことリンゴの木

むかしむかしあるところに、ひとりのお百姓さんが住んでいました。ある日、このお百姓さんが道を歩いていると一匹のアリが見えました。お百姓は「アリよ、おまえはちっぽけな虫だが、尊い命にかわりはあるまい。踏んづけぬように歩くからな」と話しました。アリはなんだかその話がわかったような顔をして歩いてゆきました。
ある年、村は大変な日照りとなり、田や畑のものはみんな枯れてしまいました。お百姓も干した葉っぱなどでなんとか暮らしていましたが、冬になりとうとう明日食べるものも無くなってしまいました。
そんな夜、お百姓さんの家の戸を叩く音がしました。すると外の雪の中にみすぼらしく真っ黒な老人が立っていました。老人は一晩泊めてくれと頼みました。百姓は「泊めるのはかまわないが、この通り、何も食べるものは出せません」と言った。朝になり、老人は御礼にと言って使っていた杖を置いて立ち去りました。
お百姓はその杖を戸のつっかえ棒に使いましたが、見ると杖の節々からなめこが出てきました。このなめこは食べても食べても次から次と出てくるのでした。お百姓は困っている村の人々にもなめこを届け、たいそう喜ばれました。
次の年は、大変な豊作に恵まれ、村の人々はみんなたくさんの米や野菜を去年の御礼にと言ってお百姓のところに届け、お百姓の家はとても大きくなりました。
何年かすると、また大変な日照りの年がやってきました。お百姓は蔵の食べ物をみんな村の人々に届けましたが、とうとう明日食べるものも無くなってしまいました。お百姓は前の日照りの年のことを思い出し、蔵にしまってあったあの時の杖を見に行きました。すると杖はすっかり枯れてしまって、なめこも何も生えてはいませんでした。
お百姓はがっかりして杖を庭に埋めてしまいました。するとそこからみるみる木が生えてきて、あっという間にみごとなリンゴの実を付けました。この実は食べても食べてもなったので、お百姓は村の人々に届け、たいそう喜ばれました。
この木には、たくさんのアリが甘い実をなめに来ましたが、お百姓は一匹も追い払うことはしませんでした。村の人々はお百姓をとても尊敬し、お百姓の家はますます大きくなったそうです。
じゃ、おやすみ。


2007-03-05 23:55  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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