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くつ屋さんの意外な才能

ある村に一人のくつ屋さんが住んでいました。
くつ屋さんは毎日毎日トントンと釘を打ち付けてくつを作っていましたが、ある日、変わったお客さんがやってきて言いました。「わたしに帽子をひとつ作ってはくれませんか?」
くつ屋さんは困って言いました。「うちはくつ屋でして、帽子は作れません。帽子ならとなりの町に行けば売っていると思いますが。」
するとお客さんは「わたしはとなりの町から来たんですよ。どうしてもあなたに帽子を作ってもらいたくてね」
「でも、わたしは帽子なんて今までに一度も…」と言いかけてくつ屋さんは思い出しました。つい5日ほど前にある女の子が店の近くで転んでしまい、泣きながら母親とやってきて頼まれたので、仕方なくくつの材料で帽子をなおしてあげたことがあったのです。
「わかりました。どうしてもとおっしゃるのなら作りましょう」
それから2週間ほどすると、くつ屋さんにたくさんの人がやってきて帽子が欲しい、と言いました。
くつ屋さんはびっくりしましたが、どうやらこの間のお客さんがとなりの町でくつ屋さんが作った帽子をかぶって歩き、それが大評判になっていたらしいのです。
「くつの材料で作ったこんなごつい帽子が大評判になるなんて…」くつ屋さんはうれしくなってせっせと帽子を作ってあげました。
それからすぐにくつ屋さんが作った帽子をかぶった紳士とすてきに修理された帽子をかぶった女の子とそのお母さんがやってきて、「こんどはお母さんにすてきな帽子をお願いします。後ろに靴ひもがついのがいいなぁ」と言いました。
くつ屋さんは三人の顔を見てますますうれしくなりました。
今日もくつ屋さんは忙しく帽子を作っています。くつもちゃんと作っています。
じゃ、おやすみ。


2012-02-09 21:38  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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