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小さな国の体の大きな王様

ある小さな国に、体の大きな王様がいました。
体の大きな王様は、自分の国が小さいことをとても恥ずかしく思っていました。
ある日、となりの大きな国から王様がやってきました。
体の大きな王様は大きな国の王様に失礼がないようにと、お迎えの準備をしました。
ある漁師がやってきました。「王様、いつものように、すばらしい魚を持ってきました。これをとなりの国の王様に差し上げて下さい」
「いつも、いつも、すまないな。おまえの釣る魚は世界一だ」
「いいんですよ。うちは小さな国だ。みんなで力を合わせないとバカにされちゃいますよ」
あるおばあさんがやってきました。「王様、こんなこともあろうかと、素敵なガウンを縫っておきました。これでとなりの国の王様のお迎えをなさって下さい」
「いつも、いつも、すまないな。おばあさんの縫う洋服は世界一だ」
「いいんですよ。うちは小さな国ですが、私たちは王様のことが大好きなんです」
農家のおじさんはすばらしい野菜を、宝石職人は美しいネックレスを、菓子屋の主人はみごとなケーキを、牧場のおじいさんは立派な馬を、子供たちはかわいい花を摘んで、お城に持ってきました。
となりの大きな国の王様は、小さな国をバカにしようとしてやってきましたが、見事な馬車、見事な料理、花で飾られたうつくしい城にびっくりしてしまいました。
そして、何より立派な飾りを付けた見事な姿の王様が自分の二倍も体が大きいことに震え上がってしまいました。
「おまえは、どうしてそんなに体がおおきいのだ?」大きな国の小さな体の王様はおそるおそるききました。
「それは、私の国の国民が、みんなすばらしい者たちばかりで、昔から私のために、すばらしい食べ物をくれたからだよ。そして、すばらしい洋服やうつくしい花々に飾られたこの城に住むことができ、心の中まで大きく育てられたのだ」
大きな国の小さな王様は、ますます体を小さく縮ませてさっさと帰っていきました。
体の大きな王様は大きな声で言いました。
「わたしは、この国が、この国の人々が大好きだ!」
小さな国の体の大きな王様とその国の人たちは、いつまでもしあわせに暮らしました。
じゃ、おやすみ。


2012-02-20 11:34  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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