「とっても眠れるお話」の話
ある町に3歳の女の子が住んでいました。
女の子は眠る前にお父さんがお話を読んでくれるのが楽しみでした。
お父さんも女の子のために頑張ってお話を読みました。
「ももたろう」「シンデレラ」
いろいろな本を読みましたが、寝る前に読むにはどれもちょっとだけ長すぎて、読むのが大変でしたし、女の子も眠りづらくなっているように思えました。
ある日、女の子が「パパ、お話読んで」と言ったとき、お父さんは
「うーん。お話読むと、かえって眠らなくなるからダメだ」と言いました。
すると、女の子はちょっと考えた様子で、お父さんにこう言いました。
「じゃあ、とっても眠れるお話をしてちょうだい」
そう言われては、お父さんも仕方がありません。
お父さんは、その日に女の子が見た物や、食べたものや、行ったところを思い浮かべながら、お話を作って女の子に聞かせました。
お話は、不思議なくらいどんどん口から出ていきました。お父さんも自分でびっくりしていました。
3歳の女の子が9歳になるくらいまで「とっても眠れるお話」は、毎晩続きました。お話は2000くらいにも増えました。
残念なことは、朝起きると「とっても眠れるお話」はすっかり忘れられてしまっていることと、「とっても眠れるお話」が始まるとすぐに、女の子の向こう側でお母さんがぐうぐう寝てしまうことでした。
高校生になった女の子は、「あのお話、お母さんには効果抜群だったよね」と言いました。
じゃ、おやすみ。
2012-03-19 10:45
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とても良いお話でした。
お子さまももうだいぶ大きくなられたのでしょうね。
by かな (2021-09-27 00:00)