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「青イソメ」の使い方

ある釣り人が海の岸壁から釣りをしていました。
エサは「青イソメ」というミミズみたいな虫でした。この「青イソメ」は緑がかった色で口から牙みたいな物が飛び出していて、ものすごく気持ちの悪い生き物でした。でも、魚はこの虫が大好きなので、次々と魚が釣れていました。
ふと、見ると、海から少し飛び出た岩の近くで何かがキラキラ輝いているのが見えました。
「何だろう ? 」と思っていると、そのキラキラ光る物は右に行ったり左に行ったりしています。波の動きとはちょっと違うので、釣り人には、それが生き物であるとすぐにわかりました。
釣り人は釣り竿を放り投げて、急いでその岩がよく見える場所に走っていきました。
釣り人は、目をこらして、じっとキラキラ光って動く物を見ました。
「あっ ! 」釣り人は思わず叫びました。
「あれは、イルカだ ! 」
「でも、あの光っている物は何だ ! 」
釣り人は身を乗り出すようにして、じっとイルカの様子を見つめました。
「ああ、大変だ ! 光っているのは「やかん」だ ! イルカの口がやかんの中に突き刺さってしまっているんだ ! このままでは、あのイルカは口を開けることができず、死んでしまうにちがいない。どうしよう」
キラキラ光っているのは、なんと、やかん でした。そのやかんの中にイルカの口がすっぽりと入ってしまい、イルカは苦しそうにそのやかんを振り回しているで、キラキラと光っていたのでした。
釣り人は、なんとかイルカを助けようと考えましたが、いい考えはなかなか浮かんで来てはくれませんでした。
仕方なく、釣り竿を拾って、とにかくインカの方におもりや釣り針のついた仕掛けを投げ飛ばしました。
さすが。釣り人です。釣り糸がヒュルヒュルヒュルと音を立てて、おもりは真っ直ぐにやかんに当たりました。
「やった ! 」釣り人は叫びましたが、カーーン、という音を立ててやかんに当たったおもりははじけ飛んでしまいました。
「おもりではやかんを割るのは無理だよな。やっぱり」釣り人はがっかりしました。
ところが。
その拍子に、釣り針にたくさん付けていたエサの「青イソメ」がイルカの目の前に散らばりました。
魚は「青イソメ」が大好きですが、魚じゃないイルカは、にょろにょろの虫がうじゃうじゃと目の前に飛んできたので、びっくりして飛び跳ねました。
水族館で見るように、イルカは10メートルほど海から飛び上がり、落ちてきました。
その時、イルカの口が突き出た岩にガーーンとぶつかり、やかんがパリーンと割れました。
イルカは嬉しくなってまた飛び跳ねました。
釣り人も嬉しくなって岸壁の上で飛び跳ねました。
釣り人が安心して帰ろうとしたとき、海の方からものすごい音が聞こえてきました。
びっくりして振り返ると、見える限りの海一面に、数え切れないほどの数のイルカが飛び跳ねていました。
釣り人は、「本当によかったなぁ」と思いました。
じゃ、おやすみ。


2012-04-24 09:31  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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