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思い出の夏休み [S家の物語シリーズ]

これも、Kちゃんのお父さんが中学生の夏休み、やっぱり自転車にテントを積んでちょっと離れた山の方に遊びに行った時です。
とっても暑い日で畑にスイカが見えたので、働いていたおじさんに、「おじさん、死にそうなくらいのどが渇いちゃったからスイカ売ってちょうだい。」と頼んでみました。おじさんは、「おう、喰ってけ、喰ってけ。」と言ってごっつい包丁でスイカを切ってくれました。
これまた、最高においしい味がしました。みんなはあまりのおいしさに皮まで食べそうな勢いで食べました。
なぜかこの時もおじさんに200円を渡しました。おじさんは、「おう、また食べに来いな。」と言ってくれました。
おじさんにお礼を言って5人の中学生は家に帰り始めました。
山からなだらかにずっと下っている坂を自転車で走っていました。自転車は何もしなくてもどんどん進み、Kちゃんのお父さんたちはとってもいい気持ちでした。
その時、「あれ ? 」って、みんな思いました。
ずっと下った先の道路が、急に色が変わっていたのです。最初は何なのかよくわかりませんでしたが、よく見ると、ものすごい雨が降っているのでした。坂の上から見ると、ここまでがかんかん照り、ここからがどしゃ降り、というのがハッキリわかりました。雨のカーテンが出来ていたのです。
中学生たちはそんな景色を初めて見たので、「わぁ ! 」と歓声を上げました。
それはとっても美しい物でした。
みんなは坂を勢いよく下りながら、誰も「どうしよう。」とは考えませんでした。全員が「あの雨のカーテンの中に走っていきたい。」と思っていたのでした。
5人の中学生は。いままでよりもすごい勢いで自転車をこぎ出すと、雨のカーテンの中に飛び込んでいきました。
目も開けていられないほどの雨でした。でも、それまでかんかん照りの熱い日差しの中を漕いでいたので、全員ずぶ濡れになりながら、「気持ちいいーーー。」と叫びました。
でも、かなり走ってもずっと雨の中で、さすがにまずいと思い始めた5人は、ちょうど雨の中にあった駄菓子屋さんに自転車ごと滑り込みました。
駄菓子屋さんのおばさんがタオルを貸してくれました。
雨が止むまで、5人はラムネを飲んで待っていました。
駄菓子屋のおばさんは「そんな遠くからここまで自転車で来たのかい ? よく来たねぇ。」と感心して、みんなにあめ玉をくれました。
急に雨が止んで、みんなはおばさんにお礼を言って家に帰りました。
家に着いた頃には、服もすっかり乾いていましたが、よれよれになっていたので、少しお母さんに叱られました。
でも、中学生たちはみんなすばらしい思い出の中にいて、お母さんの小言もあまり聞こえていませんでした。
じゃ、おやすみ。


2012-08-30 08:56  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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