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決して忘れない(東日本大震災一周忌追悼作品) [ちょっと大人向けかな?シリーズ]

ある大きな町に、一個の矢印がありました。
町のみんなは「この矢印の先に何かあるのかな?」と思って矢印の通りに歩いてしまいます。
するとその先には一体のロボットが座っていました。
「ロボットか、何をしてくれるのかな?」
「試しに何か頼んでみよう」
みんなはそう言って、ロボットにいろいろと頼んでみました。
「コーヒーを作ってくれないかい?」と言うと、ロボットは体の中からカップを出しましたが、中身はからっぽでした。
「うちのお掃除をしてくれないかしら?」と言うと、ロボットはほうきと雑巾を出しましたが、お掃除はしてくれませんでした。
「なーんだ、役に立たないロボットか」みんなはロボットをばかにして帰ってしまいました。
次の日、大きな町の大きな発電所が壊れてしまいました。町の中は停電で真っ暗です。みんなは困ってしまいました。
困ったひとりが、ロボットのことを思い出しました。
「頼む。発電所には誰も近づけないんだ。おまえが行って、直してくれ」
ロボットは黙って発電所に向かいました。危険な発電所の中でロボットは自分の電気を全部使って修理をしました。
しばらくすると、街中に電気が戻ってきました。みんなは拍手をして喜びました。
発電所の中には、力を使い尽くしてボロボロになってしまったロボットの部品が散らばっていました。
町の人たちは部品を丁寧に拾い集め、それを組み立てて町の真ん中にロボットの像を建てました。
そして、街中にたくさんの矢印が貼られました。その矢印は全部ロボットの像の場所を指し示していました。その矢印には「ありがとう。決して忘れない」と書かれていました。
じゃ、おやすみ。


2012-03-12 09:12  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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