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頭のいいラッコたち [作者のおすすめ]

アメリカの近くの海に、とっても頭のいいラッコが住んでいました。
ラッコは、おなかの上に石を乗っけて、その石に貝やウニをぶつけて割って食べるというすごい技を持っています。道具を使えるのですから、動物の中でも頭がいいのです。
ラッコたちがどうしてアメリカの近くの海にたくさん住んでいるかというと、ラッコの大好物はアワビなどの貝とウニなのですが、日本だとアワビやウニはとても人気のある食べ物で、海で勝手に取ると警察官さんに捕まってしまうほど大切にされている食べ物なのですが、アメリカ人はウニやアワビを食べません。だから、アメリカの近くの海には、大好物のウニやアワビがたくさんあるのです。ですから、ラッコはアメリカの近くの海にたくさん住んでいるのです。日本やアメリカの食べ物のことまで知っているのですから、ラッコはやっぱり頭がいいのです。
しかも、アメリカの近くの海には「ジャイアントケルプ」というこんぶを長——くした感じの海藻が生えていて、これがラッコが寝るときに体に巻き付けると流されないで済むというとても便利な海藻なのでした。
流されないようにジャイアントケルプを体に巻き付けるなんて、やっぱりラッコは頭がいいですねぇ。
さて、そのラッコたちが住む海に、海賊の船がやってきました。海賊たちは、「この辺の海には、ウニやアワビがゴロゴロあるぜ。根こそぎ取って、日本人に高く売りつければ大もうけだ」と言っています。
海賊たちは大きな網を海におろして、ウニやアワビをどんどん取り始めました。
「うお、ウニもアワビも売るほどありますぜ ! 」
「売るんだから、あたりまえだ」
と海賊たちは間抜けな話をしながら夢中になってウニやアワビを取っていました。
それを見ていたラッコたちは、海賊たちをこらしめる方法を考えました。
ラッコたちはみんなそろって、すぐ近くの海水浴場まで泳いで行きました。
そして、みんな一斉に浜に打ち上げられて、死んだふりをしました。
海水浴場にいた人たちは大騒ぎをして、「大変だ ! ラッコが浜に打ち上げられて死んでしまった ! 」と叫びました。
すぐに警察や救急車が来ました。
すると、警察官が海にいる海賊の船を見つけました。
「なんだ ? あれは ? あれのせいでラッコが死んだのかな ? あんな所で漁をしちゃダメじゃないか。あれ ! よく見るとあれは海賊の印じゃないか ! 」
警察官はすぐに海の警察に連絡しました。
夢中になってウニやアワビを取っていた海賊は、みんな捕まって牢屋に入れられました。
そのころには水族館の人たちも海岸に到着しましたが、ラッコたちは何も無かったかのように嬉しそうに海に帰っていくところでした。
海岸で心配していた人たちは何が何だかよくわからずに、「死んだラッコが、どうして生き返ったんですか ? 」と水族館の人にききました。
水族館の人は笑いながら答えました。
「ラッコは陸の上でも生きられる動物なのですよ。打ち上げられても死ぬことはありませんから、安心して下さい」
それを聞いたひとたちは、「なーんだ。それなら安心。ラッコの方が俺たちより頭がよさそうだ」と言って、笑いながら帰りました。
じゃ、おやすみ。


2012-04-29 23:28  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

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