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耳の短いウサギ その5 [耳の短いウサギシリーズ]

ある山に一匹だけ耳の短いウサギがいました。
本当はウサギは鳥のように1羽2羽と数えます。
耳の短いウサギは、幼稚園でひどい目にあったので、またまた小学校にやってきました。またまた1年生が体操していると大変なので、今度は時間を変えてやってきました。
すると、今度は6年生が走り高跳びの練習をしていました。
6年生は何度も何度も跳びますが、なかなか1メートル10センチが跳べないようです。
耳の短いウサギは、なんだか心配になって夢中になって応援しました。
すると、ひとりの背の高い男の子がぴょんっと跳び越しました。
耳の短いウサギはうれしくなって近くに置いてあった白い旗をピッと挙げました。
それを見た学級委員長がしっかりと言いました。
「先生、変な動物が校庭に入っていますが、どのようにしたらよろしいでしょうか?」
「うん?本当だ。でも、こわそうじゃないし、ちゃんと旗を挙げて働いているようだからそのままにしておいていいだろう」
「はい、わかりました。」
学級委員長は元の席に戻りました。
ひとりの男の子だけが1メートル15センチに挑戦しましたが、なかなか跳べません。耳の短いウサギは思わずみんなの前に飛び出しました。
そして、ぴょんぴょんと高跳びのバーに向かって走り出しました。
6年生は「あの動物、高跳びに挑戦するみたいだぞ」「ぴょんぴょん跳んでるから跳べるのかな?」「あの小ささでは無理だろう」「でも、動物にはすごい能力があるって先生がおっしゃっていたぞ」などと言いました。
6年生たちの落ち着いた注目の中、耳の短いウサギはバーの手前でビョーーーンとジャンプしました。
でも、ジャンプは1メートル15センチのバーには届きそうにもありません。
「やっぱり、無理だ」「仕方ないよ。小さいんだから」「やっぱり、動物の能力にも限界があるよね」6年生たちがそう言ったときです。
耳の短いウサギは、耳をぱたぱたさせてぐんぐん上に上っていきました。
1メートル15センチのバーを越えて、校舎を見下ろす高さまで飛んで見せました。
その時先生が叫びました。
「信じられん。ウサギのような動物が空を飛んでいる。すごい ! すごい ! 」
先生は夢中になってカメラを取り出し、パチパチと写真を撮ったり、小躍りしてウサギを追いかけたり、大声で他の先生を呼んだりしました。
「やった。今度は小学校の先生もボクのすごさをわかってくれたんだ」
耳の短いウサギがそう思ったとき、学級委員長がきっぱりと言いました。
「先生、ちゃんと授業を進めてください」
耳の短いウサギはがっかりして山に帰っていきました。
じゃ、おやすみ。


2021-12-21 19:16  nice!(0)  コメント(0) 
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