とっても眠れるお話: 働かないアリの話: SSブログ

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働かないアリの話 [編集]

あるところに働かないアリが住んでいました。
働かないので仲間に入れてもらえず、巣もありませんでした。
いつも一匹で、自分の食べ物のことだけを心配していました。
働かないアリが丘の上からぼーっと見ていると、アリたちはきれいに一列に並んで食べ物を運んでいました。みんなが一生懸命に自分の仕事している様子を見て、働かないアリは思いました。
「ふん、あんなに働いたって何もいいことなんか無いさ。ボクみたいにひとりで生きる方が楽でいいに決まっている。ボクみたいにひとりの方が自由だし、ボクみたいにひとりの方が……ひとりの方が……」そう思っているうちになぜだか涙があふれてきました。
すると、働かないアリの後ろの方から優しい声が聞こえてきました。
「”楽”より、”楽しい”の方が幸せよ。みんなといればアリの運動会もあるし、アリの温泉遠足にも行けるし、アリのお話会にも出られるし、アリのお誕生会で一緒に歌も歌えるのよ。そんな楽しみがいっぱいあるから、みんなつらい仕事も頑張ってやっているのよ。そして、その頑張る気持ちがこの危険な世界を強く生きていく力になるのよ」
働かないアリが振り向くと、その声はにっこりと笑っている女王アリの声でした。
「お母さん !」
働かないアリは叫びました。
「さあ、一緒にみんなの所に行きましょう。みんなはあなたの兄弟です。あなたが来るのをみんなヒゲを長くして待っているのよ」
働かないアリは女王アリが歩く道を一生懸命掃除しながら、みんなの所へ向かいました。そして、力一杯生き続けました。
じゃ、おやすみ。