やさしい村の人たち
むかし、ある村に小さなお堂がありました。お堂の中には美しい観音様の像が祀られていました。
村の人たちは、この観音堂が自慢でした。ですから、交替でお掃除をしたり、周りに花を植えたり、お供え物をしたり、お堂を汚すカラスを追い払ったり、とてもとても大切にしていました。
ある年、村の人たちが大切に育てているお米がみんな病気にかかってしまいました。
村の人たちは「困った、困った」と泣いていました。
すると、ひとりの和尚様が村にやってきました。
和尚様はお堂にこもって観音様を一生懸命に拝みました。
村の人たちは、村のために拝んでくれている和尚様にお団子やおにぎりを持って行きました。和尚様はいくら持って行っても、すぐに食べてしまいました。
その頃から、お堂の周りの花が、急に黒ずんだ色になっていきました。雑草も次々に生えてきました。「夜中に観音様の泣き声が聞こえる」と言い出すお年寄りもいました。そこで、あやしく思った村人のひとりが、こっそりお堂の中をのぞいてみました。
すると、お堂の中では食べ過ぎておなかがパンパンにふくらんだたぬきが寝っ転がっていました。
村人が捕まえて縛り上げると、お米の病気のバイ菌をまき散らしたのも、このたぬきの仕業でした。
捕まったたぬきは「ごめんなさい。ごめんなさい」と言って、その年からは毎年、山の木の実や薬になる葉っぱなどを運んできました。
村の人たちはたぬきを許してやり、お堂の外に「たぬき地蔵」を作ってあげました。
そんな村の人たちの優しさを感じた観音様は台風や日照りがこの村に来ないように、この村を守り続けました。
じゃ、おやすみ。
2012-03-09 10:51
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