SSブログ

最高の発明品

ある大きな町の片隅に、発明家が住んでいました。
発明家は、何かとても便利な物はないか、毎日考えていました。
便利な物、というは、みんなが「不便だなぁ」とか「面倒くさいなぁ」と考えている物から生まれてきます。
そして、例えばお父さんが「こんな物があったら楽だなぁ」と考えても、「我慢しなさい」と言われて終わりです。お母ちゃんが「これがあったら楽ねぇ」と思うと、どんどん売れるのです。掃除機や洗濯機、炊飯器、冷蔵庫などがそれです。お母ちゃんが使う物なので、難しいものではダメです。
一方で、若者などが「こんなの持ってたらかっこいい。」と言う物も売れます。パソコンや携帯電話、音楽プレーヤー、ゲーム機などがそれです。若者向けなのでちょっと難しい位がいいのです。
その他にも、我慢させられない人たち、つまり、お年寄りや子供向けの物もヒットしやすいのです。
ですから、発明家は「我慢しない人たち」の意見を聞こうと町に出かけました。
発明家は、若者たちに会いました。若者たちに「今、どんな物が欲しいか」とたずねると「そうだなぁ。やっぱり、女の子にもてるようになる物とかが欲しいなぁ」「じゃなければ、女の子にもてなくても楽しいような何かが欲しいなぁ」とか言いました。
次に発明家は子供たちに会いました。同じ事をきいてみると、「ぱっとどこへでも行ける機械が欲しい」「宿題が、ぱっと終わる機械が欲しい」とか言いました。
次に発明家はお年寄りに会いました。同じようにきくと、「どこでも使えるトイレが欲しい」「ヒザの痛みが、ぱっと無くなる薬が欲しい」とか言いました。
次に発明家はお母ちゃんたちに会いました。同じようにきくと、「だんなを好きなときに取り替えられる機械が欲しい」「どんなに食べても太らないケーキが欲しい」とか言いました。
それらを聞いた発明家は「まだまだみんなが欲しい物はいっぱいあるんだなぁ」と思いました。その時、発明家は何かをひらめき、家に閉じこもって実験を始めました。
数日後、「やった ! 完成だ ! 」と言う声をあげました。
発明家が発明したのは、「何でも我慢して文句を言わなくなる薬」でした。
「これを飲ませれば、若者は別に女の子にもてなくてもいいと言い、子供は、宿題は自分で頑張ると言い、お年寄りは少しの痛みぐらい平気さと言い、お母ちゃんはうちの父ちゃんが一番だと言うに違いない。これは最高の発明品だ ! 」と叫びました。
でも、これを売ってしまったら、もう発明する物が何も無くなってしまうので、発明家はこの薬を海に捨ててしまいました。
釣り人たちは「最近、魚が素直に釣れてくれるなぁ」と言っているそうです。
じゃ、おやすみ。


2012-04-15 10:16  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:育児

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証: 下の画像に表示されている文字を入力してください。

  ※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
 

このブログの更新情報が届きます

すでにブログをお持ちの方は[こちら]