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アシカの得意技

アシカはとてもかわいい動物です。水族館などでも人気者です。
頭がいいので、いろいろな芸もできます。
さて、大自然の海にもたくさんのアシカたちが住んでいます。
アシカの親子はとても仲が良く、アシカの赤ちゃんはそれはそれはかわいい顔をしています。
でも、大自然はかわいいだけでは生きていけません。アシカの赤ちゃんがヨチヨチ泳いでいたりしたら、おおきなサメやシャチなどの生き物に食べられてしまう危険がいっぱいなのです。ですから、アシカのお母さんは赤ちゃんたちを大事に大事に育てているのです。
アシカのおもしろい動作のひとつに、片方の前足、正しくはヒレですが、その前足だけを海の上に出して、すーっと泳ぐことがあります。これは、暑い日などに前足に風を当てて冷やしているのです。その様子が、何だか誰かに手を振っているように見えて、おもしろいのです。
ある日、アシカの親子が群れの中でのんびりと遊んでいました。やんちゃ盛りの子供アシカは、お母さんがちょっと目を離すとすぐにどこかへ泳いで行きたそうにしていました。
お母さんが「危ないから、お母さんから離れちゃだめよ」と言いましたが
「ボクだって、ひとりでどこまでだって泳げるもん」と言ってだだをこねています。
この子供アシカが、お母さんがよそ見したすきに、本当に広い海の方に泳いで行ってしまいました。
子供アシカは、「うわーーい。海は広いなぁ。楽しそうだなぁ」と、嬉しくなって泳ぎ回りました。かわいいお魚にも会いました。こんぶのカーテンの中を泳ぐのはとっても楽しいものでした。
でも、その様子を、遠くからじっと見ているシャチがいました。シャチは「めずらしいな。アシカの子供がひとりで泳いでいる。お母さんとはぐれたのかな ? あいつは食べたらきっとおいしいだろうなぁ」
と言って、ゆっくりと子供アシカに近づいてきました。
それとは知らない子供アシカは、夢中になって遊んでいましたが、急に海が暗くなったので驚いて見上げると、大きなシャチが真上にいて、こっちを見ていることに気が付きました。
子供アシカは慌てて逃げましたが、大きなシャチが尻尾を振っただけで遠くまで吹き飛ばされてしまいました。
「どうしよう。ボク、食べられちゃうのかな ? 」とあきらめたとき、シャチの周りにサメの大群がやってきました。サメの大群は背びれだけを見せながら、シャチを取り囲むように近づいてきました。シャチはびっくり。さすがのシャチもこれだけの大群のサメに囲まれては勝ち目がありません。アシカのことはあきらめて広—い海の方へ、さっさと逃げて行きました。
子供アシカは、「もっと怖いサメが来ちゃった。お母さん。言うことを聞かなくてごめんなさい」と泣き出しました。
すると、子供アシカの目の前にお母さんの顔が現れました。
「お母さん ! 」子供アシカは叫びました。
「よかった。よかった。無事だったのね。本当によかった」
お母さんは、そう言って体をこすりつけてくれました。
「みんながサメのまねをしてシャチを追い払ってくれたのよ。みんなにありがとうを言いなさい」
あのサメの大群は、前足を出して泳ぐアシカの大群だったのです。
「みんな、助けてくれてありがとう。これからは、お母さんの言うことをちゃんとききます」子供アシカは、おおきな声で言いました。
じゃ、おやすみ。


2012-04-22 08:56  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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