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キルクディクディクと病気の子供(耳の短いウサギの話スピンオフ) その1 [耳の短いウサギシリーズ]

Jさんは、北アメリカの草原に住むという「キルクディクディク」という動物の写真を撮る為にやってきました。
キルクディクディクはバンビみたいな感じの動物で、顔はとってもかわいいし、シカのようにピョンピョンと美しい姿で跳びながら走ります。シカのような角も生えていますが、体に似合って小さくてかわいい角です。バンビとの違いで言えば、斑点のような模様はありませんし、口の形がちょっと変わっていて、アリクイっぽい感じの口をしていることです。
耳は、ひし餅を2つ頭に載せているような耳で、これもとってもかわいいのです。
Jさんは、そんなキルクディクディクの写真を撮って、ずっと入院している息子のベッドの上に飾ってあげたいと思っていました。
草原をジープで走っていると、いろいろな動物に会いました。そして、たいした苦労もなく、キルクディクディクが群れている所を発見しました。
Jさんは、気付かれないようにそっとジープから降りて、カメラを抱えながら歩いて近づいて行きました。
レンズ越しに見るキルクディクディクは、想像通りとってもかわいい動物でした。Jさんは、「これを見たら、息子は大喜びして元気になってくれるかもしれない」と思いワクワクしてきました。
キルクディクディクが耳をピーンと立てているところとか、ピョンピョンと跳ねているところの写真をいっぱい撮りました。
すると、さっきよりもキルクディクディクが大きく耳を伸ばしました。
「なんだろう ? 」と思って見ていると、少し離れたところに大きなオオカミが3頭、頭を低くして歩いているのが見えました。
「オオカミだ。キルクディクディクを食べに来たんだな。どうしよう」Jさんはハラハラしました。
でも、大丈夫。オオカミが襲ってくるより前に、キルクディクディクたちは長い足でビョーーーン、ビョーーーンと跳びながら逃げ出しました。
オオカミも必死に追いかけますが、キルクディクディクたちの逃げ足はとても速いのでした。
そして、その次の瞬間、Jさんは信じられないものを見ました。
キルクディクディクたちは大きく耳を広げて、空高く飛んで逃げて行ったのです。
オオカミも信じられない、といった風に大きな口を開けたまま空を見上げています。
Jさんは、カメラのシャッターを必死で押し続けました。
「すごい ! これは、これは絶対に息子に見せなくては ! 」
Jさんはそう言うと、カメラを大事に抱えて、ジープに走っていきました。
じゃ、おやすみ。


2012-07-08 21:32  nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
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